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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Amnesia ( No.60 )
- 日時: 2015/07/12 18:52
- 名前: のれり (ID: R4l9RSpR)
翌日。
今日も僕は静さんの部屋に訪れていた。
僕は、部屋に入るのを躊躇していた。
だって…僕は…昨日静さんに…
『静さん。大好きです』
昨日のことを思い出しただけでも、顔が熱くてたまらない。
調子に乗りすぎたな…。
…でも。後悔はしてない。ちゃんと気持ちを伝えられたんだ。
この扉の向こうには静さんがいる。
僕は…僕の恋は報われるんだろうか…?
僕は思い切って扉をノックした。
中からは静さんの優しく落ち着いた声が帰ってきた。
僕は扉を開き、中へ踏み込んだ。
「こんにちは…静さん」
ドキドキしながらそう、挨拶をした。
全身が熱い。きっと、僕の顔は面白いぐらいに真っ赤に熟れているだろう。
「…。こんにちは。はじめまして」
「はじめ…?」
—…。え…?
「あら…?はじめましてではなかったかしら…?だとしたら、ごめんなさい。どちら様かしら…?」
「…!?な、にを…言って…?」
昨日…会ったばかりじゃないか。
それなのに…なんで…!
僕の中にある一つの仮説が立った。
静さんは…もしかして、一日ごとに僕のことを忘れてしまってるんじゃないか。
という仮説。
だとしたら、僕はなんて間抜けなんだろう。
静さんの答えを聞けるだなんて勝手にはしゃいで、勝手に落ち込んで…。
でも、でも、でも……!!
静さんが僕のことをたった一日で忘れてしまうなんて…
僕はどうすればいいんだよ…!?
僕は…!いったい…どうすれば…?
僕はガクンと膝から落ち、好きな人の前だというのにも関わらず、
みっともなくも泣いてしまった。
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