ダーク・ファンタジー小説

Re: Amnesia ( No.72 )
日時: 2015/07/21 21:42
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

皆様、おはこんばんは!本日二度目の投稿します!
…ダメですね受検生なのに…で、でも!明日べんきょー頑張るので今日は投稿します!
はい、今回は前に言っていた番外編を書きます。本編の続きではないので把握よろしくお願いします。流れ的にはNo.63の後ぐらいですかね。
えっと!さえかちゃん視点です。
では!番外編をどうぞ!!

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ちゃんと…笑えていたかな—…?
翔太さんの姿が見えなくなったのを確認してからそっとしゃがみこんだ。
緊張の糸がほぐれたせいか、涙が溢れてくる。床に小さな水たまりができた。

翔太さんが好きだ。大好きだ。風になびく柔らかな髪も、細く、綺麗に整った指も、桃色の薄い唇も、しっとりと耳に残る、低く甘い声も、全てが愛おしくてたまらない。だけど、その大好きな分だけ姉さんに対する罪悪感が私のことを締め付ける。

…でも、翔太さんは気づいてない。姉さんは毎日翔太さんのことを忘れるけれど、姉さんは毎日翔太さんに恋をしている。
そんな二人の間に私の入る隙間などない。
「…っ……ひっ……っく」
いつの間にか嗚咽が出ていた。
「…さえか…さん…」
声がした方に振り返ると、そこには舞が立っていた。ひどく、悲しそうな顔をしている。
「ま…い…私…私、翔太さんが好きだよ…」
「…はい……」
舞は泣きそうな顔をして返事をした。

「でもね…私、諦めるから。姉さんにも、翔太さんにも、幸せになってもらいたいの…だから、告白は…しないよ。でも、舞…お願い。私の…そばにいて…?
ずっと…友達でいて。大好きだよ…舞。舞は、私の…親友だよ」
そう言って、微笑むと、舞は私の事をいきなり抱きしめてきた。
「はい…はい…っ!さえかさん。ずっと、そばにいます。ずっと友達ですっ」
舞の瞳からも涙がこぼれ落ちる。

私達は玄関先でひとしきり泣いた。
「…すみません、さえかさん…私、このあと、『やらなくちゃいけないこと』
ができたので、帰りますね…。ごめんなさい…。それじゃ…」
舞は、私に手を振ってにこりと微笑んだあと、くるりと方向転換して、家を後にした。


……気のせいだろうか……?
舞の瞳がキラリと妖しく光った気がしたのは…。
舞のバックの中に、大きなハサミが入っているように見えたのは—…。

きっと、見間違い。
私は夕飯を作るためにぱたぱたとキッチンへかけて行った。