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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Amnesia ( No.87 )
- 日時: 2015/08/03 22:37
- 名前: のれり (ID: R4l9RSpR)
翌日。
僕と舞、そしてさえかちゃんは、静さんの検査結果を聞きに病院を訪れた。
実はあのあと、病院で、静さんの寝ている病室に泊まりこもうとした僕達だったが、未成年ということで追い払われてしまったのだ。
病室で待っていると、5分ほどで医者は現れた。
「やあ、待たせたね」
そう言いながら、笑顔をうかべているのは、前に静さんが階段から
転落した時に、お世話になった医者だった。
…前よりも少し…太ったんじゃないだろうか?
「…ね…姉さんは……どうしてしまったのですか…?」
さえかちゃんの声は少し震えていた。
舞が、さえかちゃんの肩をそっと抱くのが目のはし写る。
「この前…美藤さんが運ばれてきた時、彼女はAmnesiaに
なっているかもしれないと…そう言ったね?」
医者は一人一人の顔を、確かめるように覗きこむ。
「実はね…この病気は、思い出したり、全てを忘れたりと繰り返すものなんだよ…。これは、回りにいる君たちにとって、とてもつらいことだろう…。
私は、彼女を入院させることをおすすめするよ」
「—っ!でも—…」
「いいえ。大丈夫です」
僕の声を遮り、さえかちゃんは医者の申し出を断った。
「姉さんは、私がなんとかします」
「な、何とかって…君…」
「大丈夫ですからっ!」
さえかちゃんは…泣いていた。
だが、医者のことを睨みつけるさえかちゃんの瞳には、強い意志がこもっているようだった。。
「ふぅ…私はね、何も意地悪で言っているんじゃないんだよ。入院は、
別に強制じゃないよ。ただね。これだけは覚えていてほしい」
そういう医者は、とても言いにくそうに、重たい口を開けた。
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