ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.12 )
日時: 2015/06/13 22:43
名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)

「だ、だれかきたよ?」
「ぁあー……」
 今日夜は、面倒臭そうに天を仰いで、玄関へ足を進めた。
 後ろからつづりもついていく。
 チェーンを外して、扉を開く。
「はい……」
「やぁ!」
 ドアの前にいたのは、金髪に髪を染めた、今日夜と同い年くらいの青年だった。
 前髪は目を隠すほど、後ろ髪も肩につきそうなくらい髪の長い今日夜とは対照的に、短髪で、爽やかな印象だ。
「あー……」
 何か言いたげな今日夜をよそに、青年はひょい、と今日夜の後ろをのぞいた。
「あぅ……」
「今日夜……。君に、子供がいるなんて初耳だが……」 
体制を戻した青年は、驚いた様子で言った。
「こんなでけぇガキがいてたまるかよ……」
「君の子じゃないのか……。まぁとりあえずあがらせてもらうよ」
 ちょとまてよ、と制止する今日夜の声も聞く耳もたず、青年はずかずかとあがりこんだ。
 仕方なく後を追っていく今日夜。つづりはそのさらに後ろに、隠れるようにひっついて行った。

          *

「さて、この子は……一体誰の子なんだっ!今日夜!!」
「昼ドラかよ……。親戚の子だって……預かってんの」
 すると青年はニヤリと笑った。
「君に親戚なんていないだろう?」
「チィッ」
 ばれたか、と忌々しそうに今日夜は舌打ちをする。
「まさか……誘拐!?」
「ちがうっ!!」
 ちげぇよ!!と、今日夜が言う前に声を荒げたのはつづりだった。
「キョウヤおにいさんは、誘拐なんてしないもん!」
 つづりは、怒りの形相で青年を睨み付けた。