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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.13 )
- 日時: 2015/06/14 10:23
- 名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)
「お、おい、つづり……!?」
つづりの怒りはおさまらないようで、いつのまにか青年の目の前に立っていた。
誘拐よりも非道なことをしている、なんてことはいいだせない。
「わたしは、キョウヤおにいさんに拾ってもらったの!!」
まあ、おおまかにいえばそういうこのなのだが。
「今日夜が、君を? まぁ偽名をつかわずに?」
「ぎめー?」
今日夜が本名を名乗ることは少ない。”そういうこと"をしている以上、偽名は必要ではある。
実際、彼はいくつかの偽の名前をもっていた。
「で、どこから?」
「お前に関係無いだろ。用事終わったらさっさと帰れよ」
つづりに正直なことを言われたら、いくら友人といえど、不味いと思い、今日夜はこの話題を終わらせた。
「人にたのみごとをしておいてその態度は無いと思うよ……。まぁ君にはいくらかお世話になっているからね、これぐらいしてあげるさ」
そう言って青年は、ドアを弄りはじめた。
つづりは、朝食の準備のつづきをしている今日夜のもとへ逃げるようにかけていった。
「……ネジが一本とんでるよ。あとまた頭ぶつけただろう」
あきれ顔の青年を完全に無視して、味噌汁をつくりはじめる。
豆腐にワカメ、それとネギ、という定番のタネだ。
出汁は煮干しを細かく砕いたものをそのままいれる。
後は味噌を溶けば完成だ。
「よしよし、これで暫く壊れないと思うよ」
青年も作業が終わったようで、満足げだ。
保温しておいたご飯を“2人分”よそう。器が生憎1つしか無かったため、つづりの分は平皿に盛った。
「僕の分は無いのかな?」
「あっても食わねぇだろ、莫迦」
その会話の意味がつづりにはわからなかったが、彼には良い印象をもっていなかったので、気にしないことにした。
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