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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.30 )
- 日時: 2015/07/10 19:42
- 名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)
彼女は、紅茶らしき、良い匂いを漂わせるティーカップの中のそれを飲もうと、口をつける。そこで、今日夜たちにきづいた。
こちらを注視しながらも、一口。
そして、静かにカップを置いた。
「あら、新しいお客様なのかしら?」
上品なその口調は、優しいはずなのだが、人に不思議な威圧感を与える。
「ぁ、あぁ……一応」
今日夜はその雰囲気に若干戸惑いながらもこたえた。彼女はその様子を見てニコッと微笑む。
「うふふ、可愛らしい御人ですこと」
「かわ……っ?! って、なに笑ってんだよ……っ」
今日夜は隣で必死に笑いを堪える枝暮を文字通り物理的に一蹴したところで、落ち着いて、名乗った。
「……俺は、屋形今日夜」
「わたくしは咲之城 続(サクノジョウ ツヅキ)と言いますわ、以後お見知りおきを」
本当に……医者に見えない。どこぞのお嬢様である。
「ぁ、あれ……アイツどこいった?」
今日夜は辺りを見渡す。きづけば、つづりの姿が見当たらない。
いない、と思ったら、案外すぐに見つかった。憑々月詩……先程の青年と談笑……というか、お話している。
「憑々は子供には優しいですから、心配はいりませんのよ? それより、此方にいらっしゃい?」
そういって続は向かいの椅子を手で示す。
今日夜が困っていると、枝暮が背中を押した。いけ、ということらしい。
「……」
今日夜は黙って席に座る。冷静なようにみえて、内心かなり狼狽しているし、心臓の鼓動の音は、続に聞こえるんじゃないかと思うほどである。
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