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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.31 )
- 日時: 2015/07/11 23:11
- 名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)
「さっきから気になっていたのですけれど……」
彼女はそういって、今日夜のフードに手を伸ばす。見た目にそぐわない大胆なその行動に、ただでさえ本調子でない今日夜はなすすべもなく、その顔を露にした。
「……っ!?」
「あら、駄目ですわ」
すぐにもどそうとするが、制止される。じっと顔を見られ、知らぬうちに頬が赤く染まる。
「ち、ちょ……待て」
「へぇ……」
そんな今日夜の気も知らず、続は観察を続ける。
「珍しい目ですわね? それに、美しい……」
「そ、そろそろ良いか……?」
「あら、失礼」
やっと解放された今日夜は、急いで顔を背ける。
「私は外科医ですのよ。色々な症状を診てきましたけれど、そのような瞳をみるのは……初めてだわ」
「ただの化け物の目だっつーの」
今日夜は照れ隠しにそっけなく言う。
「みなさん、少し良いデスか? 今、討蜘蛛さんがいらっしゃったので……改めて詳しく、自己紹介シマセンか?」
きりねが、先刻いっていた常連客の一人が来たようだった。
「やぁやぁ、みーんなこんにちはー」
「え?」
その声を聞き、今日夜は凍り付く。聞いたことがある。忘れたくても、忘れられない声。人を人と思わない、全人類を見下した、気にくわないあの声。
「あはっ、久しぶりだねぇ……? 怪物の今日夜くーん」
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