ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.33 )
日時: 2015/07/13 20:41
名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)

        *
 ネクロフィリア、とは所謂死体愛好者のことである。
「キョウヤおにいさん、ねくろ、ふぃ……?」
 つづりは月詩の膝に乗り、足をパタパタと揺らしながら首をかしげた。
「……お前は知らなくて良いよ」
 つづりは納得いかない様子で、追求したそうだったが、渋々といった具合にひきさがった。
「あ、じゃ〜次、俺。憑々月詩、多分まだ10代。ヴァンパイアって、有名だよね? 俺もそんな感じで血を飲まないと禁断症状で死んじゃいまーす」
「……」
 
 言葉がでない。

「……どらきゅら」
 つづりにとってはそちらの名称のほうが親しみ深いのだろうか。
「では、私も改めて……咲ノ城、咲ノ城続ですわ。俗にいう闇医者というものですの。外科を専門にさせていただいてますけれど、安楽死とかにも詳しくてよ?」
 安楽死に詳しいなんて台詞聞くのは初めてだし、もう聞くことはないだろう。
「あは、次は俺様がいっちゃうね〜。俺様は射蜘蛛鈍。素性を教える気はねーのでよろしく〜」
 全く気にくわない男だ、と今日夜は思う。なにより殺したはずの人間が生きているという事実に耐えられない。
「ち……っ」
 軽く舌打ちをする。鈍は気づいてないのかわざとなのか、相変わらずニヤニヤした表情で、壁の方向を眺める。
「必要ないと思うけど……僕もしたほうがいいのかな? 自己紹介」
 枝暮はきりねに訪ねた。確かに、今日夜は彼のことをよくよく知っていた。