ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.34 )
日時: 2015/07/16 18:21
名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)

「コイツもいるし、した方が良いだろ」
 今日夜はつづりを一瞥して言った。
「あぁ、それもそうか。では簡単に。僕は來枝暮、今日夜とは長くの知り合いなんだ。実は普通の……家畜の肉や魚、野菜が食べられない体でね……まあ、要するに、人肉しか口にすることができないんだ」
 それをきいて、つづりはキョトンとした顔で首をかしげた。そんな彼女の髪を月詩がくるくるといじっている。
「えーと……どういうこと?」
「こいつは人しかくえない馬鹿ってこと」
 今日夜はサラリと言い放つ。
 確かに枝暮……彼も、月詩や続、きりねと同じように、人間的ではないような人間……だった。
 人間的ではない人間と、怪物らしい怪物……おかしな組み合わせだ。
「キタさんも、にんげんじゃないの?」
 そんなつづりの言葉に、枝暮は肩を竦めて言う。
「うーん……人間失格だとは重々承知しているけれど……まぁ、人間だとは思うよ」
 つづりは、ふーん。と、一応納得はしたようだった。
「でーきた」
 月詩が、手を広げて言った。視線をそちらに持っていくと、つづりの髪が美しくまとめられていた。どこからとったのかわからないリボンつきで。
「わあ……! ありがとう、ツキシおにいさん……!」
「あら、ずいぶん器用なのね、貴方」
 つづりは足をぱたぱたさせて、微笑んで喜んだ。
 続も驚いたように言う。
「あはは、そこまでじゃないよ。素材が綺麗だからね」
 月詩はよく澄んだ声で言った。
「月詩さんは絵画も上手なんデスよ」
「へえ……」
 そんな話に華を咲かせていると、いきなり枝暮が席を立った。
「どうした?」
「……少し席を外す。鈍……少し来てくれないか」
「あぁ? なんだ、俺様に用かァ?」
「あぁ」
 そう頷く彼は微笑んでいたが、その目は冷たく光っていた。