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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.37 )
- 日時: 2015/07/25 14:51
- 名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)
参照200感謝です……!
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「おいおい、大丈夫かよ?」
アパートの前に枝暮は車をとめ、エンジンを切った。
三人は車から出て、夕日の下に立つ。
枝暮の目には精気が無く、車内では、一言も喋らなかった。
「……今日夜、君を奴等の好きにはさせない」
今日夜は、はぁ?と首をかしげる。
「んだそれ、どういう意味だよ」
「いいや、良いんだ。気にしなくて。そう、君はいつもどおりで……」
「……わけわかんねぇ。本当にどうしたんだよ、お前」
今日夜いつもどおりではない彼の肩に、手をポン、とおくと、枝暮は朱色の絵具をぶちまけたような空を見上げた。
「ぁあ! 全く……本当に、嫌になるよ。いっそのこと、消えてしまえたら、どんなに楽なんだろう!」
黙っていたつづりも、ゆっくりと空を見上げる。
「……きれいだね」
今日夜は何も言わず、ただ、うつむいた。
*
「姉さん、ただいま」
返事はない。
「……疲れた」
コートを乱暴に脱ぎ捨て、赤いソファに座る。
「[計画]は進行してる。もう、すぐそこまで……」
暗い部屋の中、彼は一人呟いた。
「ぁあ、嫌だなぁ……」
腕で目をおおえば、そこには暗闇が広がる。
「ねむ……」
静かに、眠りにつく。
*
夢を見た。
あまりに愚かすぎる男と、怪物の少年の夢。
俺様は愚かな人間が嫌いだ。
何故なら、という理由は無い。でも、反吐が出るほど嫌いだ。
それなのに、眠るたび、こんな夢を見る。展開、表情、言葉の一字一句、覚えるくらい、何回も何回も。
ぁあ、嫌だなぁ。
大嫌いで、愛してる。
そんな夢が、死んでいくのを、今日も見なければいけないなんて。
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