ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.39 )
日時: 2015/08/28 18:31
名前: 切先 刄 (ID: jV4BqHMK)

          *

「えーと…あの、僕……」
「ぁあ、どうぞ。こちらが書類です」
 手続きは案外早く終わり、俺はただ座っているだけだった。
 引き取り手は意外と若く、まだ三十路くらいか?それより若いかもしれない。
「僕は紫灯 舵見(シトウ カジミ)。よろしくね、屋形くん」
「ぇ、あー……はい、よろしくお願いします……?」
 養子を名字で呼ぶってなんかおかしくないか?まぁそこでつっこむ程俺は度胸がないが。
「……それじゃ、ありがとうございました。さよなら、今日夜くん」
「……はい」
 俺を送った彼女は手も振らずそうそうに扉を閉めた。

          *
「ぁ、あの、僕のことはまぁ一緒に住んでるだけでただの野郎と思って良いからっ! ねっ!」
「は、はぁ……というか、前……」
 運転中に振り向くとはなんて危なっかしい……というかただの野郎て……
「ぁ、そ、そうだよねっ!」
 普通……いや、少し挙動不審なただの人間か。
 なんというか既に自分が人間ではないという考えに慣れてしまってこの表現は時々つかっていたが……慎むできだろう。極力迷惑をかけず、暗がりで生きていかなければ……
「や、屋形くんは、小学生だよね。通学は少し遠いから僕の車でいいかな?」
「ぁ、はい、どーぞ」
 まぁ学校にいってもほとんどサボっているが。特に教師も生徒も俺を避けて何もいわないし、問題ないだろう。
「つ、ついたよっ!」
 家は白い壁の一軒屋だった。