ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜復旧 ( No.47 )
日時: 2016/01/05 19:16
名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)

 なんて言えば良い?

 こいつに、俺は何ができるんだ?

 俺は今まで、人に助けられもしない、認められもしなかった。そして自分自身も、誰も助けず、誰も認めなかった。
 この少年は、俺に傍にいてほしいと言う__俺がそうすれば、こいつをこの暗い夜から救い出したことになるのだろうか……?
 こいつは俺を認めた。俺が化け物でも、自分と変わらないと言った。むしろ、自分の方こそおかしいのだと言った。

『こいつが俺を認めて、俺はこいつを救う』……?

 そんな助け合い、傷の舐めあいなんて、まるで……小さい頃聞いた夢物語のようだ。

「……俺が、お前を救うことができるのか? 俺が今お前の傍に居てやれば、お前は救われるのか? ……化け物が、人間を救えるのか?」

 俺がそう問うと、少年はすぐに答えを返した。

「君が僕から離れずに居てくれるなら……僕は救われる」

 その夜救われたのは、少年だけではなく、俺もだったのかもしれない。

          *

 夢の途中で、目が覚めた。
 時々あることだ。この『時々』があることに、安心をしていた。あんな夢を毎晩最後までみつづけたら、俺様というど、きっと気が狂ってしまう。

 夢から覚めるのは、いつもなにかしら起こった時。つまり、[計画]が進んだということだ。