ダーク・ファンタジー小説

Re: 影舞う月夜に君想う〜What a ugly beast〜 ( No.6 )
日時: 2015/06/12 19:27
名前: RINBYO (ID: jV4BqHMK)

「……別に。どうってことはない」
「そう……?」
 少女と目を合わせ続けるのもバツが悪く、ふと目を背けると、壁にかけてある時計が目にはいった。
 3時。
 1時間以上……。2時間近くここにいるのか。
 そろそろ辺りも明るくなってくるだろう。
 マズい。もしも人に見られたら……。死体を隠す時間もなかった……。
「チィッ」
 思わず舌打ちをする。
「だいじょぶ?わたしこれかたづけるから、おにいさんやすんでていいよ」
「は?」
 少女に、よもや殺そうとしていた獲物に心配されるとは思っていなかったのか、男は間の抜けた声を出してあとずさった。
「……いい。お前には、無理だろう。……俺がやる」
 死体、というのは軽いイメージがあるかもしれない。
 が。
 全身の筋肉が硬直しいて、もちやすい体制に変えるなんてことはできないし、持ってみればわかるのだが、かなりの重さがある。
 10kgの米の袋を5つも6つも同時に運ぶのは、容易ではない。ということだ。
 彼は普段、死体をバラバラに分けたり、骨を折ったりするのだが、さすがに子供の目の前でそれをやるのは憚れた。
 なので、大人しくひきずることにした(それもどうかと思うが)。
「重い……」
「どこもってくの?」
 男がフードがとれないように気を使いながら死体を運んでいると、後ろから少女がついてきた。
「……風呂場。こっちにあるだろ?」
「あるよ。……でも」
 少女は決まりが悪そうに口をつぐんだ。
 あまり距離が無かったのでさほど疲れなかったが、先程の彼女の反応もあり、あけるかどうか迷った。