ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.22 )
- 日時: 2015/11/22 11:32
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: mGOQ1xar)
「大丈夫?ティッシュ要る?」
私が羞恥心を紛らすために、大袈裟に椅子に座ると、そう声をかけられた。
声の主は隣の席の男子で、ポケットティッシュを差し出していた。
「あ、ありがとう」
たれ目で整った顔立ちの彼は、ニコッと笑った。
「それ、君にあげるよ」
「え、でも…」
それはさすがに悪いよね…!?
「いいって。僕、持っててもあんまり使わないし」
「じ、じゃあ。ありがとう」
受け取ってしまった。
でも、いい人がいてくれてよかったな…。
それから自己紹介はスムーズに終わり、たくさんの教科書やノートなどが配られた。
ひとつひとつの教科書が分厚いから、とても重い。
それから少し先生の話を聞いて、もう授業は終了。
各自解散になったので、私はエステマちゃんと合流して帰る事にした。
皆が優雅にホウキで飛ぶなか、私たち二人は歩いて帰宅。
「なんで皆飛べるの!?生まれつきなら私だって飛べるんじゃない!?」
ぷんすか怒ると、エステマちゃんに冷静に返された。
「いや、この魔法学校に通うまでの二年間に、基礎学校に通うんですよ。そこで習います」
え、なんだそれ。
「基礎学校はホウキの乗り方、魔法語の読み書き、数学など魔法の基礎的な事を習って、ここに入る準備をする所です」
まじか、そんなのあるんだ。
……ん?
「…そしたら私一生飛べなくね?」
「あ、いえ、センスがあればすぐ飛べるようになりますよ!」
「じゃあ、センスがあることを祈ろうかな…」
寮に戻ってしばらくすると、ノックが聞こえた。
「…はーい!どちら様ですかー?」
私がドアを開けると、そこにはザストが立っていた。
「やあ。元気かい、レアノちゃん?」
私は思いっきりしかめっ面をして見せた。
「なんですかその顔は。さっきのクシャミの時の顔より酷いですよ?」
「うえっ!?な、なんで知ってるの!?」
まさか、ザストが、なんで!?
「暇だったのでフラフラしてたら、たまたま!」
そう言って、わざとらしくウインクとピース。
うざい。
「まあ、それは置いといて。今日は折角の午前授業ですから、ホウキの乗り方を教えてあげようと思いましてね」
「え、本当!?私、乗れるようになるの!?」
「貴方は私が見込んだ魔法使いですからね。さあ、外に出ましょうか」
「はい、君のホウキ。プレゼントです」
「ありがと。よーしっ」
今、すごく調子がいい。
いける気がする!!
私はホウキにまたがった。
「呪文は『フライト』です」
「うん!!」
「フライト!!」
…。
…あれ?
「ふ、フライト…!!」
…。
……あれ。
「飛べないんだけど!!!!!」