ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.25 )
- 日時: 2015/11/26 18:42
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: JnydBXXF)
『空の世界』
「超イケる感じだったのに!なんでやねん!」
私が怒ると、ザストが苦笑いをした。
「…ナイスツッコミ!」
うるさい。
「来月までには飛べないと、まずいですね…」
ザストはうーん、と考え込んでしまった。
「え、来月何かあるの?」
「体育祭です」
「体育祭があるの!?魔法学校なのに?」
私は、運動はどちらかと言えば好きではない。
なのに、体育祭って…。
「リレーなど普通の競技もありますが、魔法を使った競技もあるんです」
ふむふむ。
「そして最初の入場では、ホウキで飛んで行うんですよ…」
……ん?
「もし、ホウキで飛べない人がいたら?」
「…一人だけ走っての入場になります」
「やだよ!!」
それは完璧にまずい。
そんな恥ずかしい屈辱、うけたくない!
とりあえず私は精神は集中させ、フライトと唱えまくる。
が、効果ナシ。
ザストはこめかみに手をあて、うーんと考え込んでいた。
そ、そんなに希望がないの??
「そんなんじゃ一生飛べねえ」
不意に、どこからか声が聞こえた。
声の方に振り向くと、少年が一人。
上着のポケットに手をつっこんで、少し離れた道に立っていた。
ツンツンした黒髪に、鋭い目つき。
というか、今の言葉は聞き捨てならん!
「今、練習の真っ最中なの!これからだもん!」
私がそう言い返すと、少年は何も言わなかった。
数秒立ち止まったかと思うと、踵を返していった。
なんだったんだ、アイツ。
でも、絶対飛べるようにならないと!
* * *
「はあー…」
私はため息をつきながら部屋に戻った。
すると、アイドル雑誌を読んでいたエステマちゃんが、私に気づく。
「あの、何かあったなら、私でよければ話を聞きますよ」
そういって微笑んだエステマちゃん。
今の私には天使にみえるよ…。
というわけで、話を聞いてもらう事にした。
「それは災難でしたね…。あ、私、練習つきあいましょうか?」
誰かに話を聞いてもらうとスッキリする。
やっぱり、溜めこんじゃうのは良くないよね!
「うん!ありがとう、エステマちゃん」
私は笑ってそう言った。
そして私は、友達って最高だなあ、と思いつつ、テレビをつけた。
テレビは小さいながらも、すべての部屋に設置してある。
ほとんど地球のテレビと同じなので、使い方はすぐマスター出来た。
私はなにか面白いものはないかと、チャンネルを変えていった。
すると。
《明日、明後日のこの時間はstorm特集!皆さん見てくださいね!》
番組の司会者がにこやかに笑いながらそう言った。
「…レアノさん、明日と明後日は用事がありますので無理です!」
エステマちゃん、今日一番の最高の笑顔。
「あ、うん…!」
…友情って、なんだろう…。