PR
ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.32 )
- 日時: 2015/12/06 12:00
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: P3.L1.aj)
どうしてか、やりたいと思えない。
私には、きっと出来ないと思うから。
私は、夏芽の手のひらの炎を見つめていた。
「レアノ。お前もやれよ」
夏芽は手を握りしめ、炎を消した。
「…え、いや、私…」
「は・や・く!」
仕方なく本の前に立ち、説明などを読む。
そして説明通り、手を前にだし、目を閉じる。
「フレイム!」
ゆっくりと目を開けた。
しかし、目の前の景色は、なにも変わっていなかった。
…やっぱり、出来ない。
「なんだよ今の。全然駄目じゃねーか」
夏芽が厳しい目でこちらを見ている。
そりゃそうだ。
自分でも、駄目だって分かっていたから。
「そんなの、私が一番分かってるよ」
「じゃあやれよ。今のはレアノのやる気の問題だっただろ」
「出来ない!!!」
…やってしまった。
皆の視線が私に集まる。
「わ、私には。魔法なんて使えないんだよ」
本当に私に、魔法なんて使えるの?
本当は私は、普通の人間なんじゃないの?
そうかもしれない。
だって私は、そうやって12年間生きていたんだから。
そう思ったら逃げ出したくなって、私は教室を飛び出した。
「お、おい!!どこに行くんだよ!?」
夏芽の声も無視し、私はただ走る。
* * *
私は寮に戻り、布団を被った。
何をやってるんだ、私は。
目を覚ますと、エステマちゃんが帰ってきていた。
そうか、私、寝ちゃってたんだ。
私が起きたのに気づき、エステマちゃんは優しく笑った。
「レアノさん。起きたんですね」
おずおずとした態度からすると、誰かから話を聞いたんだろう。
「エステマちゃん」
「私はきっと、魔法なんて使えないんだよ」
私はできる限りの笑顔で言う。
「だから私は、元の、人間の世界に帰ろうと思うんだ」
PR