ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.33 )
- 日時: 2015/12/07 20:05
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: isn12P1b)
「レアノちゃん」
そこに、ザストが入ってきた。
「ザ、ザスト。ノックぐらいしてよ、びっくりした」
私が普段の調子で返すと、ザストは目を見開いていた。
「レアノちゃん。ミカ先生から聞きました。…あの」
「ザスト。元の世界には、どうしたら帰れるの?」
「…学長室から、帰る事ができます…」
「ありがとう」
私は笑う。
私に、出来るはずがなかったんだ。
魔法、なんて。
* * *
次の日。
私は学長室に向かった。
学園には行きたくなかったけど、仕方ない。
少々迷いながらも、学長室に到着。
これで、いいんだよね。
「これで、いいの?」
声の方に振り向いた。
落ち着きのある、少し低い女性の声。
「そんなにすぐ諦めちゃって、悔しいと思わない?」
黒髪ロングと豊満な胸。
美しい顔の女性が、私を見ている。
「誰…なんですか」
警戒しながら聞くと、彼女はさわやかな笑みを見せる。
「あれ、分かんないか。一応、同じクラスなんだけどな」
「私、葉山雪見。水科だから、レアノちゃんとは反対だね」
どういうこと?
一度に色々な事がありすぎて、状況が整理できない。
私が帰ろうとした時に、彼女が現れて…。
彼女は…。
「貴女は、なんでここに来たの?」
「私?そんなの決まってるよ。レアノちゃんを連れ戻すため」
「…なんで?話した事もないのに」
率直な疑問をぶつける。
「武田夏芽。私の大事な人。夏を悲しませないために、そして私自身のためにも貴女が必要」
そして彼女は首をかしげた。
「これだけじゃ、駄目かな」
その時。
廊下に、誰かが走ってくる音が聞こえた。
「レアノおおおおおおおおおおっ!!」
ツンツンした黒髪、鋭い目つき。
夏芽だ。
「やっと、見つけた…!お前、帰るなんて、言うなよ…!!」
息切れしているところを見ると、ずっと探していてくれたんだろうか。
「お前、ジェイさんの事、かっこいいって、言ってたじゃねえか!やりたいって、言ってたじゃねえか!」
「ちょっと出来ないくらいで、すぐ諦めたりすんな!!甘ったるい事言うなよ!!」
胸が高鳴った。
そうだ、私は何て馬鹿な事を考えてたんだろう。
練習もせずにすぐ出来ないなんて、私が自分に甘いだけだったのに。
「ちょっと、行ってくる」
私は走り出す。
「は!?どこへ!?」
夏芽の声も、無視。
私の心が、明るくなった気がする。
大空に飛んでいけるような、太陽みたいに眩しい気持ち。