ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.34 )
- 日時: 2015/12/22 13:14
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: s9PJfNZh)
私は走った。
向かうは、2年生の教室。
階段を駆け上がり、生徒会室を通り過ぎようとしたその時。
「おい、そこの一年生!」
私はすぐに振り返った。
だって声の主は、私の今一番会いたい人だったから。
彼は、必死すぎて鬼のようになった私の顔に一瞬驚いた後、言葉を続けた。
「危ねえから、廊下は走んなよ!」
筋肉質で高身長、そして個性的なウサギのTシャツ。
「ジェイ先輩!」
ジェイ・マグドネル先輩だった。
* * *
「なるほど。魔法が使えない、か…」
私が今までの事をすべて話すと、ジェイ先輩はうんうん頷いた。
「俺と反対なんだな」
「え…?」
私が首をかしげると、ジェイ先輩は話を続けた。
「俺はガキの頃から魔力が多かった。気を抜くとすぐコントロールできなくなって、魔法を使っちまってたんだ」
「だが、俺はすげえ武器を手に入れ、この問題を解決させたんだ!!」
「お、おおーっ!!」
そんなすごい武器があったら、私も魔法が使えるかも!
「それを、お前にも貸してやる!」
「う、うええーーーーーーーっ!?いいんですか!?」
「いいとも!」
ちょっと待ってろ、とジェイ先輩は生徒会室に入って行った。
ああ、どんな武器だろう?
期待に胸を膨らませていると、暴言が聞こえた。
「アイツの杖なんて、きっと長年の手汗で腐りきっていると思うわ」
振り向いてみると、そこには。
ゆるふわウエーブの栗毛に七分袖のワンピースをまとった美人がいた。
そう、彼女は。
セシリア・エッカート先輩だった。
防御科代表で、入学式でバトルをした一人である。
彼女は腕組みをしながら私を見ていた。
「あ、あの…?」
「失礼。私はセシリア・エッカート。あと、アイツのいう武器というのはこれの事よ」
そう言って持っていた高級感ある箱を開けると、そこには杖が入っていた。
「私の杖を貸してあげる。早く飛びたいでしょう?」
なんだかよく分かんないけど、貸してもらってしまった。
「あ、ありがとうございます!」
私が感謝の言葉を言うと、セシリア先輩は微笑んだ。
「頑張るのよ」
「はい!」
私は学園の校庭に向かった。
* * *
ホウキにまたがり、杖を持ち、目を閉じる。
杖に気持ちを集中させ、飛びたいと願いながら叫んだ。
「フライト!」
するとホウキはふわふわと浮かびだし、私はバランスをとる。
どんどんホウキは浮いていき、ついには建物よりも高くなった。
そしてついには自分でも操れるようになった。
上下左右、自由自在。
風が頬にあたり、少し冷たい。
でも、とっても気持ちいい!
私は空を飛んでるんだ。
空を飛ぶって、こんなに楽しい事なんだ!