ダーク・ファンタジー小説

Re: 【新章突入!】魔法少女の世界−New World− ( No.39 )
日時: 2015/12/30 14:47
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: OrCsXVwf)

「な、な、なんですか、それ!!その石みたいなやつから、黒い…、ぅえぇっ!?」
一瞬にいろんな出来事がありすぎて、一つにまとまらない。
「それ、魔法なんですか!?それかゼノ先輩って実は天才科学者とかですか!?」


「…これは俺の創魔法の一種だ」
ゼノ先輩はそう言うと、校舎に戻っていってしまった。
でもすごいなあ。
魔法って、本当にいろんなことが出来るんだ!


部室に戻ると、私はせいのん先輩に聞いてみることにした。
「と、いうわけなんですけど…詳しく教えてもらえないでしょうか…??」
「ああ、あれは魔法武器というのよ」
魔法武器???


「魔法武器は創魔法使いが戦いで使うものよ。まず原石を開発して、それからその原石に魔法をかける。それで完成」
あれ、けっこう簡単そう?
「単純そうだけど、これがけっこう難しいのよね。だから、今ゼノは嬉しそうにしてるの」


ゼノ先輩を見ると…、さっきとあまり変わらないような。
普通に魔法書を読んでいるように思える。
でも石は、木箱に大事そうに入れてあった。


…確かに、すっごく嬉しそう。
なんだか私まで嬉しくなってきて、ゼノ先輩の方に駆け寄った。
「その石、すごく綺麗な黒ですね。少し見てもいいですか?」
ゼノ先輩は大きくうなずいた。


木箱を少し近づけ、ただただ石を眺める。
吸い込まれそうな透明な漆黒の長方形。
ずっと見ていたくなる宝石のような石に、つい笑みがこぼれてしまう。


その時。
「あ、レアノさん、少しいい?」
せいのん先輩に呼ばれ、私が振り向くとき、手に木箱があたっていて。


気づいたときにはもう遅かった。
木箱は落ち、飛び出した石が床に音を響かせる。


「い、石が…」
私の言葉を、せいのん先輩が続ける。


「割れた…」


刹那、影は一瞬で竜となり、宙を舞う。
すると竜は叫び、窓ガラスがすべて割れてしまった。
竜はそこから飛び出すと、グラウンドで暴れだした。
何かが壊れた音が聞こえてくる。


「どうしよう…わ、私が、落としたせいで…」
…どうしよう…!!
「封印が解けたから暴れだしたのね…。あの状態じゃ、もう…」
せいのん先輩は、一つ息を吸ってから言う。



「…殺すしかないわ」


私はその時、ゼノ先輩の顔を見ることが出来なかった。