ダーク・ファンタジー小説

Re: 【新章突入!】魔法少女の世界−New World− ( No.40 )
日時: 2015/12/31 10:48
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 0WufYTEJ)

「皆、あの竜を止めるわよ!急いで!」
せいのん先輩はそう叫ぶと、呪文を唱えてホウキを出した。
他の部員さんたちもホウキを出すと、窓から飛んでいった。


「私も行かないと…!」
そう言って思い出した。
振り向くと、ゼノ先輩は下を向いて、ただ立っていた。
「あっ!あ、あの…」


でもゼノ先輩には、何も届いていないように思える。
「…先に…、行ってます…」
私には、声をかける権利なんてない。


窓から外を見ると、3階ということもあり、けっこうな高さだ。
こ、ここから飛ぶのかあ…。
…いや、行かないと!!


「フライト!」
ふう、なんとか飛べた。
って、あれ…?


なんかめっちゃ速いんだけど!!?
思ったときにはもう遅く、ものすごい速度での急降下。
地面に思いっきりぶつかった。


「いっったーい!ま、まだまだ練習が足りなかった…」
って、こんなとこで止まってる場合じゃない!
私はグラウンドに走った。


すると、せいのん先輩たちが呆然と突っ立っているのが見えた。
あれ、どうしたんだろう…。
かけよってみた、その時。


竜がこちらに向かって火を吹いた。
や、やばい、焼かれる…!?

私はぎゅっと目をつむった。
…。

…。

あ、あれ?
ゆっくりと目を開けると、目の前には二人、誰かが立っていた。
もしかして、助けてもらった…?


「アナタ、危なかったルラ。気を付けるルラ」
一人は民族衣装のようなものを身に纏い、髪を二つのおだんごでまとめた小柄な少女。
少女はそう言うと竜の方に走り、攻撃の準備を始めた。


「レアノさん、怪我はない?ここにいると危ないよ」
もう一人は—…。
「レスター!?あ、ごめん、助けてくれてありがとう…」
レスターはたれ目のさわやかな笑みをみせると、竜の方に飛んでいった。


私は少し場所を移動すると、二人の戦いを見ていた。
魔法を使いこなす、憧れてしまうような戦いっぷりだ。
「あーあ、レスター、そうとうキレてやがる…。あの竜の方が可哀想だな」
紅花ほんふぁもね…。すごく怒ってる」


後ろで聞き覚えのある声が話している。
振り向いてみると。
「夏芽!!と、雪見…さん?」
ちょっと緊張する。


「呼び捨てでいいよ。レアノちゃん」
微笑んだ顔は、なんだかお姉さんみたいで、安心して話すことが出来た。
「あ、うん…!えっと、あの女の子、紅花っていうの?」
「そうよ。秦紅花(しん ほんふぁ)って名前。あの子料理部なんだけど、作った料理をダメにされて怒ってると思うわ」


「レスターは体育館と自分のロッカー壊されてキレたぞ」
ま、まじか…。
二人を見てみると。


「ワタシのプリン返せぇぇぇっ!!ディスチャージッッ!!」

「死んで詫びろ、この破壊竜!!アイシクル シュラーク!!」


…呪文の前に復讐心込めてる…。