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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.43 )
- 日時: 2016/01/08 22:56
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 710duu2T)
「完成した本当の原石なら、どんなことをしても割れない」
そう言うと、ゼノ先輩は頭を下げた。
「せ、先輩!?ど、どうしたんですか!?」
「君には余計な心配をかけてしまった。…すまなかった」
言い終わっても、ゼノ先輩は微動だにせず頭を下げたままだ。
「そんな、私が悪いんですよ!顔をあげてください…!」
落してしまった私が悪いのに。
どうして謝るの?
「封印が出来ていなかったんだ。あのまま使っていたらいつか今日と同じ…、いや、もっとひどかった」
風の音だけが耳に響く、静かな世界。
誰もが、私とゼノ先輩のやり取りを見ていたから。
その時、声をあげた人が一人。
「そこまででいいんじゃないかしら、謝るのは。」
せいのん先輩だった。
ゼノ先輩は何か言いたげな表情だったけど、黙っている。
「自分を責めるのは貴方の悪い癖よ。…さて、レアノさん。部室に戻りましょうか」
こうして私たちが部室に戻ると、野次馬たちもそれぞれ戻っていった。
戻ったころには、ちょうど下校時刻となり、あいさつをして帰宅となった。
私は申し訳なくなって帰ろうとすると、後ろから呼び止められた。
「レアノさん。今日の事で、誰も貴女を責める人はいないから」
「もし魔法研究部に入るなら、もちろん歓迎するわ」
…せいのん先輩。
「でも、私」
「でもじゃない。大事なのは、貴女の気持ちだよ」
そう言って、ニコッと笑う。
私は、そんなの。
そんなの、とっくに決まってる。
「せいのん先輩!」
「私、魔法研究部に入部したいです!」
魔法を上手く使えるようになりたい。
ここにきて、たくさんの魔法を見て、ドキドキして。
きっと私は、ここで憧れに近づけると思うから。
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