ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.47 )
- 日時: 2016/01/11 22:32
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: Ux.5UTH1)
『実行委員の世界』
四月も下旬、私はついに杖がなくても魔法を使えるようになっていた。
授業も部活も楽しいから、良いんだけど…。
夏芽と雪見。
なかなかチャンスがなく、背中を押そうにも押せないっていうか。
そんな事を考えていると、朝のHRが始まった。
「では、今日は体育祭の実行委員を決めたいと思います」
ミカ先生が説明を開始。
「学級委員である雪見さんとレスターさんと、あと二人は…推薦で決めましょうか」
…え。
「雪見とレスターが学級委員だったの?」
「…推薦で決まったのよ。そういえば、レアノさんはその時休んでいましたね、ホウキで空が飛べ…」
やめてえ!思い出したくないよう!
…てか、ちょっと待てよ?
これは突然のラブキューピットタイム!!!
「はいはいっ!夏芽と私がやりますっ!」
私が勢いよく立つと、夏芽が驚いた顔でこちらを見た。
「ちょっ、レアノ、手前何言ってんだよ!?」
「まあまあ、落ち着いて!」
そこにレスターが入ってくる。
「夏、まだやるって決まったわけじゃないでしょ。誰もいなかったら…二人にやってもらうけど」
「やっぱりやるんじゃねえか!!」
そんなやり取りをしていると、一人の少女が手を挙げる。
あの子は確か…、秦紅花ちゃんだ。
「夏芽とレアノでいいと思うルラ。ワタシやりたくないし」
「はっ!?紅花、手前なあ!」
すると、皆口をそろえて賛成。
見事私の計画は始まりを告げたのである!
一時間目が終わり、休み時間。
授業が終わった瞬間、夏芽がものすごい形相で近づいてきた。
「…レアノ、どういうつもりだよ」
「いいじゃん!楽しいよ、多分!」
「多分じゃねえ!どうでもいい理由で俺を巻き込むんじゃねえよ!」
言い争いになろうとした、その時。
「うるせえ!!」
夏芽にレスターの回し蹴りがヒット。
「うっ…、ぐうっわあ…!」
「決まった事をいつまでもグダグダ言ってんじゃねえよ!」
レスターはそう言うと、スタスタと教室を出て行った。
わお。
* * *
その日の夜。
エステマちゃんがそういえば、と話を持ち出した。
「レアノさんは、攻撃科の王子と仲が良いんですか?」
こ、攻撃科の王子??
「誰それ?」
「知りませんか?レスター・カノヴァス、という人なんですけど」
レスター!?
「知ってるよ…。てか、あの人、そんな名前で呼ばれてたの??」
確かに整ってる顔だと思ってたけど、そんな名前があったとは…。
「はい!攻撃科の王子と防御科の王子は、全校の女子に大人気なんですよ」
エステマちゃん、目が輝いてます。
「まあ、攻撃科の王子は女の子とは必要以上に話さないようですけど」
「あれ、じゃあ防御科の王子って誰?」
それを聞き、エステマちゃんの目がさらに輝く。
「ロイス・ドーレさんです!彼は女の子にとっても優しくて、なんとバルシェ先生の弟さんなんですよ!」
エステマちゃんは、ベッドに倒れこんだ。
「私の憧れなんです」
「え、ミシェルは?」
聞いた途端、エステマちゃんは勢いよく起きた。
「もちろんミシェルが一番ですよ!この間のテレビでも—うんたらかんたら」
…しまった、これは徹夜コースのヤツだ。