ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.55 )
- 日時: 2016/02/11 17:40
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: uCV9N75p)
目が覚める。
寮の、私の部屋の天井のようだ。
それを確認し、寝ている体を起こそうとするが、上手くいかない。
「レアノさん!目を覚ましたんですね!」
エステマちゃんが、満面の笑みで私の顔を覗き込む。
そして、誰かに何かを伝えにいき、喜んでいるようだ。
ちょ、私も話に混ぜてよう!
すると、先ほどレスターを手当した養護教諭さんがいた。
「まだ治療中だから、しばらくは動けないけど我慢してね」
クスッと笑った顔が、とっても美人。
「学長もあの娘も、貴女の事が大切なのね」
「え、ザスト!?」
その時途端に、ザストの顔が目に映る。
「レアノちゃん、その怪我は誰にやられたんですか!?」
すごく慌てた顔のザストは、初めて見た。
そしてその台詞を聞いて、私は思い出す。
「そうだ———っ!!!!私、変な男に絡まれたんだ—————っ!!!」
なんで忘れてたんだろう、こんな大事件!
「…犯人、思い出しましたか?」
「ええっと、確かー…」
回想。
それは医務室に向かう途中、おそるおそる歩いていた時の事。
フードをかぶった男の人に声をかけられた。
「こんにちは」
偉い人だったらマズイので、一応返した。
「私はこういう者です」
名刺を渡された。
「…あー、すいません。私、名刺とかなくて…。レアノです」
「レアノ…さん」
ちょっと、こわかった。
「は、はい」
でも、名前くらいなら言っても問題ないよねって思った。
「そうですか」
男の人は、不気味に笑った。
それから、激痛。
痛みに目を向けると、腹部に何か刺さっていた。
私は一瞬で、気を失った。
「その名刺は持ってますか?」
「手で持ってたからなあ…倒れた場所に落ちてるかも」
ザストはそれを聞くと、すぐにホウキを取り出し、窓から飛び出していった。
すると。
「その話、マジかよ!?」
夏芽が部屋に入ってきた。
「あれ、何、夏芽。なんで女の子の部屋に勝手に入ってくんの!?」
「はあ!?何だ手前!人がせっかくきてやったのに!」
いつものように言い争いが始まろうとしたところで、夏芽が。
「そうだ!レアノ、犯人はロイスって奴じゃねえのか!?」
…!?
突然出てきた人物に、疑問しか生まれない。
「な、んでロイス?関係ないじゃん」
「最初に倒れたお前を見つけたのがレスターで、一番怪しいのがロイスって言ってた」
「だからレスターが今、ロイスを拷問してる…」
「な、なに—————!?」
その時。
「レアノちゃん。治癒魔法終わったわよ」
養護教諭さんだ。
すると、体がスムーズに動いている。
傷もなく、どこも痛くない。
「ありがとうございます!」
私は夏芽と、一目散に走りだした。
* そして取り残される、エステマちゃん…。