ダーク・ファンタジー小説

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.60 )
日時: 2016/03/02 18:46
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: LV9Enekb)

『体育祭の世界』




校庭に並ぶ、たくさんの椅子。
飾り付けがされたステージ、紅白のハチマキ。
そう、今日は体育祭の日です!


今私は、ステージ付近の控えテントで、体育祭で使う魔法道具の最終チェックをしている。
ちなみに、ミカ先生も一緒だ。
「凄いですよねえ。魔法道具が開発されて、機械に頼らなくても良くなったなんて」


道具の点検をしながら、私は感心していた。
今日使うマイクなど、機械類はすべて魔法道具なのだという。
「そうねえ。しかも、最初に開発したのはザスト学長だそうよ?」
「え!?ザストが!?」
「それから、どんどん技術が発達して今に至る感じね」


「…よし、点検終了。レアノさん、もう戻っていいわよ」
「はーい、分かりました!」


なんか、ザストって謎が多いなあ。
そう思いながら座席に戻ろうとした途中。
「うわああっ!?」
走ってきた誰かにぶつかった。


「痛いなあ!!誰…って、レスター!?」
怒ってやろうと思い顔を見ると、それはレスターだった。
「レアノ!…怪我はない?」
「うん…。レスターこそ、なんで走ってたの?」


何か急ぎの用事かと思った私に、予想もしなかった答えが返ってきた。
「…女子に、追いかけられてるんだ」
そう言われて気がついた。
レスターは、白いハチマキに学生服という格好をしていた。


「確か、応援団長って当日発表だったよね。まさか…」
「僕、白組の応援団長なんだよね…」
レスターはため息をついた。
「僕も前日に知らされたんだ。断ったんだけど、これ着て立ってるだけで何もしないからって言われて」


仕方なくね、と付け加えられた。
でも女の子に追いかけられるなんて、よっぽど。
「モテるんだね」


気がついた時には、口に出ていた。
…しまった、何言ってんの、私。
「写真をせがまれたんだ。全部断ったけど」


その時。
「いたっっっっ!!!レスターさま———っ!!!」
十人など軽く超えているであろう人数の女子達が、一斉に走ってきた。
「ご、ごめんレアノ!また!」
レスターは風のように去って行った。


…ん?
そして私は、走ってきた女子の波に巻き込まれ、倒れてしまった。
「痛いー!!もう、なんなのよー!」
しばらく、ここで座っていたい気分だ。
なんだか今、すごく不思議な気分になっている。


いや、確かにここはあまり人が来ない通りだけど。
恥ずかしいし、やめておこう。


「そういえば、赤組の応援団長って誰だろう?」
それは、独り言のつもりだった。
「俺だよ」


驚いて、振り向いた。
そこに立っていたのは。
「…ロイス?」


赤いハチマキ、学生服。
「まあ、そんなに警戒しないで。今日は同じチームとして、頑張ろうよ」


ロイスはそう言い、去って行った。
気がつけば、体育祭スタートまでもう少しの時間。
私は急いで座席に戻る。