ダーク・ファンタジー小説

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.67 )
日時: 2016/03/18 22:36
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 40s8uker)

最後の競技、騎馬戦が終わる。
結果は、私たち赤組の負け。


全体でも接戦の末、11対12で白組の勝利となった。
これから閉会式が行われるけど、正直もうそんな気力ない…。


「夏芽と雪見は司会、エステマちゃんはどっか行っちゃったし…」
誰か私を励まして…。
ふらふら歩いていると、誰かにぶつかった。
「いたっ…。す、すいません」


今日はよく人にぶつかるなあと思いながら顔を上げた。
すると目の前に。
「アナタ…レアノ?どうしたルラ?」
「あっ!?えーと、紅花ちゃん!」


雪見と寮の同室の少女、紅花ちゃんだ。
「顔色悪いルラ。調子悪いルラ?」
「赤組、負けちゃった…。うう…」
知り合いに会った安心感で、悲しみが心の底からあふれてくる。


「そんなにショックだったルラか…。まあ、また来年があるルラよ」
紅花ちゃんが背中をさすってくれる。
「うう…。紅花ちゃんは優しいねえ…」


「さ、閉会式始まるルラ。入場の準備ルラ」
「…うん!そうだね」


その時。
「ねえ」
声をかけられ、振り向いた。
「今から閉会式なの?」


「…!?ロイスとエステマちゃん!?」
どこか吹っ切れたような表情の二人が、そこに立っていた。
「あ、えっと。うん。今から閉会式」
「そうか。ありがとう」


そう言うと二人は、またどこかに行ってしまった。
「?あいつら二人、なんだったルラ?」
「さあ…」


     *     *     *


こうして始まった、閉会式。
バルシェ先生が前に立ち、話が長かったら嫌だなと思っていると。
何故だか前に、ロイスとエステマちゃんが登場。


女子からの歓声と悲鳴。
だがロイスがマイクを持つと、その声はすぐに止んだ。


「今日この場を借りて、皆に伝えなきゃいけない事があるんだ」
ロイスはまっすぐに、前を向いていた。
「俺は今、隣に立っている、エステマ・ゾルさん。」


「彼女の事が好きです」


ざわざわとし始める校庭。
「彼女も俺の事が好きだと言ってくれました。俺はそれが、本当に幸せです」


「ファンの子には申し訳ないと思ってる。でも俺は彼女しか眼中にないし、それはこれからも変わらない」
「だから彼女を傷つける事だけはやめてほしい」
すると今度はエステマちゃんが、ロイスからマイクを奪う。


「私は、ロイスの事が本当に好きです」
「だから、たとえ誰かに何をされようと、屈しません」
エステマちゃんは、太陽のように笑った。


「不満のある方は、ぜひかかってきてください!」
凛とした表情の彼女に、異論を言う者はいなかった。
二人はそのまま一礼し、舞台から去って行った。


静まり返っていた校庭は、再びざわつきはじめる。
…なんだか、すごい事になってる?


こうして体育祭は、幕を閉じたのだった。