ダーク・ファンタジー小説
- Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.69 )
- 日時: 2016/03/23 23:33
- 名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: .Hx7EboP)
『友達の世界』
青年は、堂々とした姿でソファに腰をかけた。
そして近くのテーブルに置いてある資料のような紙を手に取る。
その姿は誰もが目を奪われるような、美しい姿だった。
片目を隠した巻き毛の金髪に、すべてが完璧に整っているパーツ。
まさに眉目秀麗、といった所だろうか。
青年は、目の前に立つ女性に話しかける。
「君の行いは本当に優秀だね。正確な情報が、しっかりまとめてある」
「ありがとうございます」
女性は顔色一つ変えずに、淡々と答えた。
「勧誘にも成功したんだろう?」
青年は口角を上げた。
「確か、ハヤマユキミ、だったか」
そして、ケラケラと笑う。
「では、次の任務はこれだ」
青年は真面目な表情で、女性に紙を渡す。
女性は軽く目を通した後、頷いた。
「承知いたしました、ギージュ様」
* * *
体育祭が終わって一週間。
つまりは、ロイスとエステマちゃんがカップルになって一週間。
「なあハニー、俺は君の事を世界中の誰より愛してるよ」
「ダーリン、私は貴方の事、宇宙一愛してる」
「毎日毎日、私の部屋で言い合ってるんだよー!?ありえなーいっ!!」
そう、そうなのだ。
私とエステマちゃんの相部屋である306で、二人で愛を語り合っている。
「うわあ、すごいね…」
「吐き気がするルラ。ワタシだったら二人まとめて蹴り飛ばしてるルラ」
こうして休み時間、話しているのは雪見と紅花ちゃんだ。
「しかも寝るまでずーっと言ってるんだよ?もう耐えられない…」
「あ、さすがに泊まってはないんだ」
「そんな事されたら、私が死んじゃうよ」
連日その疲れからか、なんだか力が入らない。
「あーあ。どうしたもんかなー…」
私は思いっきりのびをした。
「あ、そうだ。私たちの部屋に泊まるのはどう?」
「え?い、いいの?」
「ワタシは別にかまわないルラ」
というわけで、そういう事になった。
「ついでにバスケ部の練習も見ていく?」
バスケ部というと、レスターや夏芽も所属する部である。
「うん!」
私は何の迷いもなく返事をした。
* * *
「というわけで、友達の部屋に泊まる事になったんですよ!」
部活中、あまりの楽しみさでせいのん先輩にも話していた。
「へえ、確かそういう時って寮に申請に行くんでしょう?」
「え、そうなんですか!知らなかったです…」
そんな事を話していると。
「いいですね。僕はロイスが寝るまで、エステマさんについて語ってきますよ」
そう言ったのは、ロイスの同室の浩宇くんだ。
「しかも毎日毎日同じような内容で…。おかげで寝不足です」
「えー、そうなんだ!なんか親近感!」
こうして、楽しいお泊りまでの時間が過ぎていく。