ダーク・ファンタジー小説

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.70 )
日時: 2016/03/26 17:42
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: yqB.sJMY)

部活が終わり、私は急いでバスケ部の練習場に向かう。
文化部と運動部では部活の終了時間が違うので、まだ練習中だろう。
扉を開けると、雪見が手招きをしていたので、駆け寄った。


「お疲れ様!マネージャーって、やっぱり大変だよね」
「うん…でも楽しいし、やりがいがあるよ」
そう言って雪見は、何かをメモしていた。


「何書いてるの?」
「選手の今日の体調とか、シュートの本数とか。今ミニゲームをしてるんだけど、その結果とかも」
コートの方を見ると、確かにゲームをしている。


夏芽とレスター、同じチームだ。
気付くと、レスターがシュートを決めていた。
「レスター、ナイス」
同じチームであろう人たちが声をかける。


一方。
「夏。さっき相手にボールとられた時、取り返そうとしなかっただろ」
「ゲッ」
「ゲッ、じゃないだろ!自分から負け認めてどうすんだ!」


熱血指導…?
「あはは。夏、毎日部長とレスターに絞られてるよ」
夏芽、もっといいとこ見せなよ…。


「ちなみに部長は、生徒会のジェイさんだよ」
「マジか!」


     *     *    *


バスケ部も終了し雪見についていくと、そこはとても可愛らしい部屋だった。
レースのカーテンに、花がモチーフのベッドや机。
「超可愛いー!うちの部屋と全然違う!」


こっちにはアイドルグッズしかないよ…。
そしてしばらくすると紅花ちゃんも帰ってきて、お泊り会スタートだ!


「夕食時間までまだ時間あるし、いっぱい喋ろうよ!」
「まずはレアノの恋バナからルラ」
「なんで私!?そう言う紅花ちゃんはどうなのー?」


     *     *     *

深夜。
少女は注射器を持っていた。
いや、彼女を少女と呼ぶのはおかしいかもしれない。


彼女が少女なのは、心の中だけだ。
見た目は20代半ばほどだろうか。


彼女は迷った。
私利私欲のために、友人を殺すなんて。


—でも彼女を殺さなければ、私が死ぬ。
でも、でも、でも、でも、でも、でも、でも!!!
でも。


もう、腹を括ろう。
一つ深呼吸して。


思いっきり、力の限り。
大切な友人の首に、注射器の針が刺さる。


涙は出なかった。