ダーク・ファンタジー小説

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.72 )
日時: 2016/04/05 17:19
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 3T8mb002)

とりあえず、終わった。


私は自分の席に戻り、机の匂いを嗅いでおいた。
「な、何やってんだレアノ?キモい…」
「もう私この学園に居られないかもだから、この匂いを忘れないようにする!今までありがと、夏芽!!」


返ってきた、テスト結果。
二教科あるんだけど、両方とも、惨敗、というか死んでる。
「何点だったんだよ?」


「炎科が、3点…」
ちなみに、100点満点中である。
「俺は27点!俺の勝ちだな」


「夏も全然低いじゃん」
「レスター!は、何点だよ?」
「100点」


見せられた答案用紙に、不正解は一つもない。
「二人とも基礎科はいくつ?」
「私は8点」
「俺は21点」


「二人とも、実技で頑張りなよ…」
「実技?」


「魔法大会だよ。あれも成績に入るらしいから」
「じゃあ、そこで優勝すれば落第阻止!?」
「そうなるね」


これは頑張らないと…。
「あれって、寮のルームメイトと二人一組だろ?」
「マジで!?じゃあエステマちゃんとだ!」


最近ロイスといちゃいちゃしてるとこしか見てないぞ…。
これは、まずい…!?


     *     *     *

「で、なんで私の所に来るんですか?」
学長室。
ペンを走らせながら尋ねるザストは、けっこう忙しそうだ。
まあそんな事は無視して、ソファに座ってみる。


「いや、ザストって学長じゃん?どうやったら勝てるかなー、みたいな」
「魔法を磨けばいいんじゃないですか」
「…適当だなあ。最近話してないな—と思ったからきたのに」


「じゃあ、練習場に行ってみるのはどうですか?きっと誰か練習していると思いますから、技盗んできてください」
「おー、いいね!じゃー、行ってくる!」


この時の私は、まだ何も。
何一つ分かっていなかった。


彼女の心の奥の苦しみを。

彼と、私のつながりを。

私の身体の、黒い影を。