ダーク・ファンタジー小説

Re: I live with ヴぁんぱいあ。【更新再開】 ( No.111 )
日時: 2015/03/23 23:10
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: OgnYhGeD)

*参照900記念小説




ものすっごく遅くなってしまったのですが、参照記念です。
今回はほとんどSidestoryしか登場しない恭也です。
こいつにも折角なので、スポットライトを……。



【クラスメートをイジってみた No,03】





外は白い雪でいっぱいだ。
積もったその真白に一際興味を表す少女がいた。



「……恭也ぁ!!雪降ってるよ、ねぇ、白いよ!」



少女……相楽ゆたかは恭也に笑顔を見せて、雪を手にのせ溶けていくのを見守っていた。
まるで、儚いものでも見るかのような目だ。


「そうだな、白いな」



急に話しかけられてびっくりした。
こんなところに自分が好意を持っている少女がいて、しかも話しかけてくれるだなんて。今日はなんて素晴らしい日なのだ……口元がにやけて仕方がない。隠すようにコホンと咳払いをし、恭也は彼女のはしゃぎっぷりを見る。


「雪、よく降るだろ?」
「私は、最近まではあんまり雪降っても外でなかったから」
「なんで……?」



聞いてみると、ゆたかは軽く人差し指を鼻の前に立てた。秘密、ということなのだろうか?
気になったが、秘密ということなら仕方がない。そう思い恭也は軽く頷いて、笑った。


「あれ、恭也身長伸びた?」



急に近づいてきたゆたかは、自分の身長と恭也の身長を比べるように手を動かした。ゆたかは小柄なので、恭也との差は相当なものになる。もちろん、ゆたかがいくら背伸び使用が恭也の身長に届きやしない。それでも、精いっぱい「私のほうが大きいよ!」と、嘘をつくゆたかに自然と恭也の口元が緩んだ。


「のびてねーよ。ゆたかが小っちゃくなったんじゃないか?」
「そ、そんなことないもんっ」



ゆたかは焦ったように、すぐに言葉を返してきた。
気にしていることだったのだろうか、表情はやけに真剣だ。


「恭也……」


雪が積もっていて、動くとシャリっと音が鳴る。
ゆたかが何故かふと目をつぶった。名前を呼ばれただけでもドクンと脈打つのに、何で目を瞑ってんだ!!
もしかして……



ゆっくりと、恭也はゆたかに近づいた。
恭也は顔が赤くなりつつも、唇と唇が触れ合うまであと数センチまできた。
そんな時に、ゆっくりとゆたかは閉じていた目を開く。



「……恭、也?」



恭也が近づいていたことにびっくりしたのか、ゆたかは頭にハテナを出した。
驚いているということは、ゆたかにはそういう気が全くなかったということ。


「なぁ、それ誰に教え込まれた?」
「……海里が、恭也ならきっと喜んでくれるからって」
「……あぁ、東雲ねぇ、東雲」


悪気がない、だからこそもう何も言えない。
……でも、


「今度そんなことやったら、俺……我慢できないから」




ゆたかは何が何だか分からなかったみたいで、やっぱり頭にはハテナを出している。
恭也は少しげんなりしながら、東雲……東雲と、一人の少女の名前を連呼しながら「ありがたい」という気持ちと「ひどい」という気持ちのはざまで格闘していたとさ。




おしまい。


***



イジリ度:少なめ
教訓:乙女の純情を甘く見てはいけません(恭也論)