ダーク・ファンタジー小説
- Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.112 )
- 日時: 2015/03/28 13:30
- 名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: MsT83KPf)
*参照1200突破記念
突破してからもう一か月たっているのに、今更参照記念です。
今回は不思議君こと、庵です。
さて、彼をいじることはできるのやら……。
【不思議ちゃんをイジってみた No,04】
ゆたかは真っ暗な一室で息をひそめていた。
ゆたかの座っている前には、ぐっすりと眠っている一人の少年……庵がいた。
彼女は手にマジックを持つなり、口元をにぃっと横に広げる。
「……いつも庵が意地悪するからだよ」
ゆたかはいつもの腹いせに、庵の顔に落書きしようと考えているのだ。
そーっとマジックのキャップを音が鳴らないように外し、ゆっくりと彼のほっぺたに先を近づけた。しかし、先の黒い部分が庵の頬に触れようとした瞬間、ゆたかの手が止まった。
「……なに、やってんの?」
聞こえてきたのは本当に小さな声。ゆたかはビックリして、腰を抜かした。ぎゅっと握られた腕、彼に彼女はゆっくりと自分のもとに引き寄せられた。
「なに、夜這い?」
「……ちがっ、ちがうっ!!」
ゆたかは顔が赤くなりつつ、勢いで否定した。
それでも、否定した後に聞かれる言葉はもちろん「じゃぁ、何?」ということで……。
結局は悪戯しに来た、という羽目になる。
「男の寝ているところに、のそのそやってくるなんて、ゆたかは変わってるね。本当に」
ぎゅっと引き寄せられたゆたかは、体を崩し庵のもとに落ちる。
逃げようとするが、腕をぎゅっと握られていて、どう足掻こうと逃げることはできないようにされていた。
「……一緒に、寝る?」
「…………っ!!」
ぎゅっと抱きしめられるような体制にされて、耳元で庵が呟いた。
彼の心音が間近で聞こえる。彼の吐息が間近で聞こえる。
庵の熱を近くに感じてゆたかはギュッと目を瞑った。
「庵の……」
「……ん?」
ゆたかの震える声が聞こえた。庵は十分に楽しんだので、もう離してあげようと腕を離した瞬間だった。
「馬鹿ぁぁぁぁぁぁあ!!」
そんなゆたかの声が聞こえたと同時に、勢いよく足で腹を蹴り上げられた。衝撃で声が出ないというより、痛さで声が出なかった。
「庵のばか、大っ嫌い!!」
真っ赤に染まった顔で、ゆたかは暴言を吐く。
でも、さすがに言い過ぎたのかと思ったのか、すぐに表情を変えて「今のは、う、嘘だから!」と言い残し部屋を出ていった。
「……あぁ、やっぱ痛い」
お腹をさすりながら、赤くなったゆたかの表情を思い出して庵は笑ったとさ。
おしまい。
***
イジリ度:少なめ(イジっているのかどうやら……)
教訓:悪戯に悪戯で返すと蹴りがやって来ます(庵論)