ダーク・ファンタジー小説
- Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.55 )
- 日時: 2015/05/11 11:27
- 名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: Rk/dP/2H)
参照300記念小説
遅くなりましたが、記念小説を書かせてもらいます。
今回の小説の記念は「○○さんをイジってみた」という企画をやっていこうと思います。
今回は、鉋をイジります。人気のあまりない鉋に少しだけ優しくしてあげようと思います(笑)
***
【ヴぁんぱいあさんをイジってみた No,01】
「お腹すいたぁ……」
時刻は十時過ぎ。友達である少年たちと遊びに行っていたせいでこんなに遅い時刻になってしまった。くるるっとなるお腹をさすりながら鉋は玄関の中に入った。
「お帰りー」と可愛らしい声を出して出てきたのは、ゆたかではなく八朔。ちっ、と小さな舌打ちをしたが、それに気づいた八朔に脛をけられた。
「お帰り。鉋。思ったより早かったね」
「そうかー。俺は腹が減って、もう死にそうだ」
「えー、もう死んでるじゃん。っていうか、そのまま死んでも大丈夫だと思うけどー。そしたら安心して、ゆたかは俺が独り占めするから」
「……はぁ?」
鉋が怒りをあらわにすると、八朔は本当に呆れたように溜息をついた。
「ってか、早くドア閉めてよ。寒い」
言われてハッとする。ドアを開けっぱなしにしていた……。これがゆたかなら、蹴りが一発飛んでくる。暖房の無駄遣いでしょ? と真っ黒な笑顔で。
とはいえ、化け猫は化け猫でも、一応猫ということで寒いのは苦手なんだろうか?
身体をちぢこめて文句を言う八朔を見ると、自然と口元が緩んだ。
外は冬景色が広がっている。
そんな中、雪がぽつぽつ降っていた。薄黒い雲に覆われて月はよく見えないが、雪は幻想的な光景だと感じる。
鉋は雪をまるで儚いもののように見て、息をついた。
「はいはい。閉めます」
口を尖らせながら、鉋はドアをゆっくり閉めた。
景色が少しづつドアに隠れていく。
「……って、ゆたかは?」
「ご飯作ってるよ。キッチンじゃないかな? 今日は、カレーだってさ。鉋好きじゃなかったけ」
「あぁ、うん。好きだよ?」
「ゆたかのことが?」
八朔の言葉に鉋は一瞬黙りこくってしまった。
深いため息を一度つき、じっと八朔を見つめる。
「お前さ、何が言いたいわけ? 八朔のくせに、俺に文句か。残念だが、ゆたかは俺のものだから。お前には渡さない」
「駄目だよ。ゆたかのカレーはだれにも渡さないっ」
…………。
「お前、食い意地はってないか?」
「さっき味見させてもらったんだけどさ。すっごく美味しくて……」
「あっそ」
正直何とも思えなかったが、一応鉋は笑っておいた。
八朔がいつもより笑顔だったので、正直鉋は嫌だと思った。というか、嫉妬だ。
なぜなら八朔は鉋のカレーは嫌いだといい、いつも作れば半分以上残してくるのだから。
……カレーは嫌いなのだと思っていた。
「それと、八朔のくせに。っていうのは間違ってると思うけどな」
「あー、すまん。八朔様」
***
「ゆたか」
「ん、どうしたの?」
「カレーなんだってね。夜ご飯」
「っていうか、鉋帰ってくるの遅かったから、もう夜食というか。まぁ、八朔もあんまり早い時間に食べたくないっていうし。でも、こんな時間に食べてたら太っちゃうっていうか……ぶつぶつ」
ゆたかが珍しくちまちまと文句を言いながら、カレーを混ぜている。
カレーのスパイスの効いたいい匂い。
絶対美味しいな、このカレー。明日の朝食の八朔の分まで食べてやろうか……。そんなことを考えている間に、ゆたかがカレーをさらに盛り付け、鉋の前に置いた。
「はい、召し上がれ」
おいしそうに盛り付けられたカレーを見ると、すぐに鉋はスプーンを持ってカレーに食いついた。
「……づぅ、な。なに、なにこれ。って、うわぁっ、辛い。何これ、辛すぎない?」
「あ、八朔が鉋が作る甘いカレーが嫌いっていうから、辛い奴作っておいたの。美味しいでしょ?」
満面の笑顔を見せるゆたかに何とも言えず、鉋は隣にあった水を一口飲む。唇のあたりがひりひりとして痛い。八朔はよくこんな物食べれたなぁ、心の底から鉋は彼のことを尊敬し、深き息をついた。
鉋は、味オンチ気味(辛いのが大好き)のゆたかの作る超激辛カレーを涙ながらに食べましたとさ。
おしまい。
***
イジり度:少なめ
教訓:甘党に激辛カレーを与えてはなりません(鉋論)