ダーク・ファンタジー小説
- Re: 《異常》ですけど何か?【小説版】 ( No.3 )
- 日時: 2015/11/27 20:44
- 名前: 雪音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeⅠ 藍原奏音 1
_昔から運動はダメだったけど勉強は得意だった。
「今回の小テスト、相変わらず満点は一人、藍原だ」
テストを返される時に毎回言われたその言葉。
自分で言うのもなんだけど元々勉強は出来る方だし、親がいないから双子の妹と二人暮らし。
高校で各学年で成績が1位の生徒は学費免除がされるからそこを目指して尚更頑張った。
休み時間に離れたクラスの妹の元へ行く気にもなれない。だからずっと勉強をしていた。
そんな生活を続けていれば当たり前のように友人と呼べる人物なんて一人もいない。
話しかけられたとしても嫌味っぽく何かを言われるだけ。
- Re: 《異常》ですけど何か?【小説版】 ( No.4 )
- 日時: 2015/11/28 07:20
- 名前: 雪音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeⅠ 藍原奏音 2
「藍原さんてさー、ホント勉強好きだよね」
「ね。ウケる 和音ちゃんと正反対だよね。性格とか色々」
・・・陰口のようにコソコソ言う女子たち。
のように、じゃなくて陰口かな…まあいいや。
私の妹、藍原和音。
勉強はできないけどスポーツ万能で私と正反対。
性格も正反対とか言われるけどそうでもない。
子供の様に煩く、元気のよい和音と大人しいと部類されるだろう私。
私だって家ではどちらかというと和音ぽい性格。
でも、学校では何でかこんな性格。
無愛想とかいわれるけどまぁ、仕方ない。別に気にしないけど。
別に友達なんて欲しいとも思わないし必要だとも思わない。
クラスは違うけど妹だっている。自分のことをよく理解してくれている双子が。
だから、それでいいんだ…
- Re: 《異常》ですけど何か?【小説版】 ( No.5 )
- 日時: 2015/11/28 19:16
- 名前: 雪音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeⅠ 愛原奏音 3
ある日、転入生が来た。
「えー、今日から同じクラスになった洋資望愛(ヨウシ ノア)だ」
黒板には『洋資望愛』の4文字。その黒板の前には可愛らしい一人の少女。
ショートカットの黒髪でこの中学の制服をよく着こなしている。
瞳は二重で細い黒縁メガネをかけている。
「洋資望愛です。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げ、頭を上げたらニコッと微笑む。
男女問わず「可愛い」と声が聞こえる。
一番後ろの窓辺の席で一人、頬杖をついて彼女を見る。
顔立ちは整っている方だとは思う。
「じゃあ、席は学級長である藍原の隣な。取り敢えず藍原。立て」
めんどくさい、そう思いながらも立つ。
よく見たら隣。空いてるな…。
てくてくと私の隣の席に歩いてくる洋資さん。
「君が藍原さんね。よろしく」
ニコッと笑って席に着く。
私も続いて席に着く。
そのあとは先生が連絡事項とか言って時間がただ、過ぎて行った。
- Re: 《異常》ですけど何か?【小説版】 ( No.6 )
- 日時: 2015/11/29 18:45
- 名前: 雪音 (ID: HKLnqVHP)
EpisodeⅠ 藍原奏音 4
「ね、藍原さん。放課後学校案内してもらえない?」
休み時間。読書をしている私に話しかけてきたのは隣の席の洋資さん。
コテンと首をかしげて聞いてくる。
「あ、もしかして用事でもある?」
「別に…どうせ和音も今日部活だし」
今日は一人だ…と思いながらそう言う。
陸上部の和音は週に5日は部活。
休みと言ったら水曜と日曜だけ。だから水曜日は一緒に帰っている。
でも今日は火曜日。一人で帰る日だ。
「じゃあ、お願い、出来るかな」
上目使い気味に聞いてくる洋資さん。
別に良いよ。と短く答え読書を再開すると、ありがとう!と笑顔で言ってくる。
…無駄に明るい子だな。