ダーク・ファンタジー小説
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.16 )
- 日時: 2016/01/10 07:36
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「私にとって人肉こそ至宝。でも人は異常だという。 どっこも異常じゃないよ。私にとっては」
EpisodeB 藍沢和音 Ⅰ
幼い頃から見続けてきたのは親に褒められる兄と姉の背中。
兄の梨音は小学生。成績は良い方らしい。
姉の奏音は私と同い年なのにまだ習っていない字を書くことが出来る。
双子なのに、兄妹なのに。私は自慢できることは足の速さしかない。
それでも、親は褒めてくれない。足の速さなんて親は求めてなかった。
「偉いわねー、奏音ちゃん。…それに比べて、和音は全然駄目ね」
いつも二人でいても奏音ばかり褒められる。
私にはいつも同じ言葉を言われる『全然駄目ね』って。
母も、父も。私の事を嫌っている。
本当は娘は1人居ればよかった。でも、まさか双子だとは思ってなかったらしい。
それに同じ顔、同じ身長。見た目は全部同じなのに中身は全然違う。
頭が良いけど足が遅い奏音。頭は悪いけど足が速い私。
足が遅くても頭が良いのを親は求めている。
もしも私も頭がよかったらきっと嫌われることが無かっただろうね。
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.17 )
- 日時: 2016/01/18 06:53
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「私にとって人肉こそ至宝。でも人は異常だという。 どっこも異常じゃないよ。私にとっては」
EpisodeB 藍沢和音 Ⅱ
「あぁ、もう!何が悪いのよ…!!!!」
母さんがイライラしている。
この頃父さんが全く帰ってこないことに関係あるのかな。
「リー兄、なんでお父さん帰ってこないの?」
「…和音、お前にはまだ分からない方が良いよ。母さんにも聞いちゃ駄目だからね。絶対に」
いくら聞いてもそれ以上は教えてくれなかった。
父さんが帰ってこないということは家にはお金が入らない。
専業主婦の母さんは外で働いていないからお金は出る一方で入っては来ない。
だから節約をしないといけない。
食費を削るために、私の食事をいきなり出さなくなった。
「お母さん、なんで和音にご飯無いの?」
コテン、と首を傾げる奏音。
奏音とリー兄の前にはいつもよりも量は少ないけどちゃんとご飯が置いてある。
「和音がね、要らないって言ったのよ。私の料理は食べてくないって」
言ってない…! そう、声を出そうと口を開いたらキッときつく睨まれ口を閉ざす。
「お母さん、出かけてくるからちゃんと食べてね。梨音は遅れないようにね。学校」
そう言い残し、家を出て行った母さん。
「和音、一緒にご飯食べよう?私の分けるよ」
ニコッと笑って分けてくれる奏音。
本当に、いい姉を持ったな。私は。
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.18 )
- 日時: 2016/01/12 05:45
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「私にとって人肉こそ至宝。でも人は異常だという。 どっこも異常じゃないよ。私にとっては」
EpisodeB 藍沢和音 Ⅲ
「お腹すいたねー…和音」
「お母さん、はやく帰ってくるといいね、奏音」
保育園に通わせてもらっていない私達は平日の昼間も家にいる。
てっきりお昼までには帰ってくると思ったけどまだ帰っていない。
母さんの性格的に働ける場所を探してるとも思えない。
「お昼、どうする?」
「火使ったら危ないよね?」
私達の身長ではまだ届かないし火は危ないし。
「「お昼、我慢しよっか」」
二人の声がピッタリと重なり二人で笑いだす。
そのあとは水を飲んでお腹を満たした。
リー兄が帰ってきてご飯を作って貰おうと思ったけどリー兄は火を見ちゃうと興奮しちゃうからご飯は作れない。
「母さんが帰ってくるまで我慢できるか?」
私達の頭を撫でながらそう聞いてくるリー兄。
「「我慢、出来る」」
またピッタリ重なる声。 それを聞き満足げに頷く。
2食くらい、抜いても大丈夫だよね。