ダーク・ファンタジー小説
- 「同じネクロフィリアでも大分違う。だから一緒にするなよ」 ( No.38 )
- 日時: 2016/02/06 17:29
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http:// 「同じネクロフィリアでも大分違う。だから一緒にするなよ」
EpisodeD 稲波零都-藍沢奏音 Ⅰ
「零都!これスッゴイ綺麗に出来たよ!」
「あー、綺麗綺麗」
「棒読みするなーッ、そもそも全然見てないじゃん!」
ムーと子供の様に頬を膨らませる少女___藍沢奏音。
奏音の言う【綺麗なモノ】はホルマリンに漬かった一人の男の【死体】
こいつも俺も、同じ性癖。ネクロフィリア【死体性愛】と言う性癖。
といっても俺は先天性…つまり生まれつき。奏音は後天性と言う違いがある。
たまに俺の部屋に来ては自慢の死体を見せてくる。
最初の時は何とも思わなかったけど今じゃただ鬱陶しいだけ。
「お前本当に性格変わったよな。あの引き籠り時代に比べて」
「あー、あの人生最大病み期引き籠り時代ね。確かに大分変った
なぁ…。あの頃は全然人とも話せなかったし」
久々に昔の話でもしよっか。なんてニコッと笑って言ってくる。
自分の傷を自分で抉る行為をよく出来るもんだ。なんて思いながらも昔
の話を始めた。
奏音と和音と俺は幼馴染。
和音と言うのは奏音の双子の妹。5歳の頃に親を食べた【食人性愛者】。
親が喰われたショックなのか奏音は人には見えない【壁】のようなもの
を作り出した。
無邪気でよくしゃべる奏音がいきなり口数が少なくなり一気に冷たい性
格になった。
小学校までは何ともなかった。 奏音だってちょっとクラスの中で浮いてるかな、程度。
でも、中学校に上がってからある噂が流れ出した。
【カンニングをしている藍沢奏音】
テストで常に満点近くをとっているという理由で『カンニングだ』とい
われてそれが噂となって学校中に流れた。
その噂のせいで奏音は孤立した。 そんなことを和音から聞いた。
「ノンちゃんはカンニングするような子じゃないッ」
涙を目に溜めながらそう、俺に言って来た。何度も、何度も泣きながら繰り返してた。
結局中学時代は奏音は学校中の嫌われ者のまま卒業をした。
元々成績の良い奏音は推薦で頭のよい高校へ進学した。
和音も成績は下の下だがスポーツ推薦で陸上の強豪校へ。
成績の中の中の俺は地元の高校へ。
小学校から中学までずっと同じ学校だった俺たちは高校でバラバラになった。