ダーク・ファンタジー小説

Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.58 )
日時: 2016/07/09 02:24
名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)

 ????年?月?日時刻不明 ??? point:????

 正義。
 よく聞く言葉だが、では正義とは一体何なのだろうか。
 『正義の味方』を軸に考えてみよう。
 『正義の味方』……まあ、戦隊ヒーローや何とかライダーなどを思い浮かべてくれればいい。彼らは私たちにとっての正義であることは間違いないだろう。

 ならば、悪者たちにとってみれば?

 さて、ここで考えなければならない。通常、悪者にとってヒーローは『邪魔者』という存在だと解される。
 だが、『正義』の反対は『悪』。つまり、悪者にとってのヒーローは『悪』の存在であるはずなのだ。
 ではなぜ、『邪魔者』だと解されるのか。答えは1つ。矛盾が生じるからだ。
 そう、『悪』者にとってのヒーローは『悪』。ここで2つの『悪』が存在してしまうわけだ。矛盾があるということは、前提が間違っているということ。
 間違っている前提は?

 それは、『悪』者という前提。これがおかしいのだ。
 ここで先ほどまでの悪者を、正義の味方と言い換えてみよう。そうすれば、正義の味方にとってヒーローは『悪』である——矛盾は消えた。
 矛盾が消えたということは、そこに間違いはないということ。

 だが、違和感を感じないか?

 ここで出てきた正義の味方は、一体誰にとっての正義の味方なのだろう。
 もう分かったかな? そう、他でもない悪者たちだ。
 私たちにとってのヒーローは『正義』であり、悪者にとってのヒーローは『悪』である。ここで矛盾が生じるのは、すべてを私たちの目線から語っているからである。

 つまり、何が言いたいのかというと。
 この世に『悪』など存在しないということだ。
 もちろん、『正義』の反対は『悪』なのだがそれは語句的な意味であり、考えなくてもいいだろう。今論じているのはもっと踏み込んだ領域——人の心なのだから。

 要は、マイノリティーかマジョリティーかの問題なのだ。
 マイノリティーが『悪』でマジョリティーが『正義』。それが今の社会の構造である。
 だが、だからと言ってマイノリティーが本当に『悪』なのだろうか。

 いや、逆を考えてみたほうが早いか?
 つまり。
 マジョリティーが本当に『正義』なのだろうか。

 答えは、イエスだ。
 厳密に言えば、マジョリティーもマイノリティーも『正義』なのだ。先ほどのヒーローの例と同じだ。
 そう、視点を変えればすべてが『正義』。

 すべてが、『正義』。
 『正義』と『正義』がぶつかりあい、争いが起こる。逆に言えば、争いの中に『悪』などないのだ。

 君が『正義』だと思ってした行為でも、別の人間の視点からは『悪』だと思われているだろう。
 この例を先に出せばよかったと少し後悔している。

 さあ、答えてくれ。
 君は、自分が『正義』だと胸を張って言えるかい?