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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【暴力表現有】 ( No.13 )
- 日時: 2016/01/05 17:33
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
「寒くなってきたなぁ……」
__静。月は柔らかな光を放ち、星が瞬く、そんな真夜中の空の下に建つ、赤屋根の家。
その二階にあるベランダの上には、まだ高校生程の娘が、毛布にくるまり座っていた。
季節はまだ秋といえど、木々をさざめかす風は、身体に少しばかり堪える。
つば付きの赤いチェック柄の帽子を被った彼女は、ベランダから街を眺めるのが日課だった。
彼女は__神越 哀恋【ミコシ アイレン】は、夜の空気を楽しんでいるわけでも、星を眺めるのが好きなわけでもない__ここにいる理由はただ1つ。血の繋がらない兄を待っていた。
といっても、繋がっているハズがなかった。
彼女の兄は、人間ではない。人形だ。
__しかし、そんなことは哀恋に関係ない。
親からそのことを伝えられたのは、彼女が13歳、兄が15歳の時だった。言いにくそうに、隠していたことを申し訳なさそうに話す親に、彼女はキッパリと言った。
「お兄ちゃんが人じゃなくても、大好きなのは変わらないわ」
そして迷わず契約をした。もしかしたら、兄弟の繋がりよりも強いかもしれない繋がりを結んだのだ。
そんな大好きなお兄ちゃんは今、アンダーグラウンドな世界で、一人前にお仕事をしている__
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