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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【暴力表現有】 ( No.17 )
- 日時: 2016/01/10 00:05
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
「ねーえー、かおるんさんー、俺そろそろ飽きたんですけどー」
少しして……薫が硫酸を目薬しようといていたとき、場にあわない気の抜けた声で竜門は階下の薫に声をかけた。
「ぁあ? なんだかおるんて、殺すぞ」
「あ、それ組長にみょうりんって言ったときも言われました。いや、じゃーなーくーて! そろそろ吐かせてくれません? プロの看板はお飾りっスか?」
竜門のあくびまじりのその言葉を、薫は眉間に皺をよせてジト目で……無言で返した。それから呆れ顔で吐き捨てた。
「口悪っ!……お前よくそのー……みょうりんに殺されてないな」
「やだなぁ、俺と組長の絆はそんな浅くないんスよぉ? ってか、薫さんがみょうりんとかいうと違和感パネぇ!!」
ゲラゲラと笑う竜門に、こいつは本当に頭のネジが足りないんだな、と薫はまたも呆れる。そして、ほっぽりなげられている男をチラッと一瞥した。苦悶に身体を捩らせているその姿を見て、なんでここまで吐かないんかな、と考えを巡らす。一番可能性が高いのは、言ってしまったら雇い主に家族や恋人が殺される、という線だな、と思う。あの夜宮組に喧嘩を売っているようなものなのだ、足を捕まれた場合自分が殺されるのは必然だろう。
「しゃーねぇな……お楽しみはここまでか」
「うわぁー、お遊びだったんすかー、酷い、おもに俺に!! 一人で暇してる人の気持ちをしらないで!」
「……はっ、あたりまえだろ、ばーか」
さて、と呟いて指を鳴らす。男は薫のその様子を、恐怖に目を……竜門の声かけのおかげで原型を保ったままの目を見開いて見つめた。
「ここからは慈悲もなにもない天罰……な」
薫はそう語りかけて唇をニヤリと歪ませた。その様はまるで悪魔だ。
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