ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【暴力表現有】 ( No.18 )
- 日時: 2016/01/11 12:10
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
「おい、テメーら出てろ」
そういって薫は、脇にいた組員達に、外に出るよう指示をする。
「何するんスかー? 麻酔無し抜歯? 爪はぎー……はもうやったか。あ、大事なトコ潰しちゃうとか?」
今までで充分エグかったのに、と興味深げに見つめる竜門の言葉を無視して、薫は男の腹に足を置いた。内蔵を損傷しているのか、男が激しく咳き込む。
「White cofession , a fuck'n stray sheep」
「は?」
薫が呟き、男に強烈な蹴りをいれたその刹那、薫の脚から放たれた黒い電光が、男の“ナカ”へとまるで避雷針にあつまるかのように、『吸い込まれて』いく。
「……な……っ!!」
そのあまりに唐突な展開に、竜門は吹き荒れる爆風にただ飛ばされぬよう踏ん張るしかない。
その嵐のような猛攻の中心にいる薫は、ただ凄惨な笑みを浮かべてその足を男に押し付け続けた。
ようやく、風も電撃も収まりだした時、やっとのことで竜門は口を開いた。
「……薫さん、まさか……っ」
薫が男から脚を離す。その瞬間、完全にその現象は収まった。あれほどのものだったのに、男の体には外傷がまったくといっていいほど増えていなかった。肉片となって飛び散っていてもおかしくないのに。
「あ? 人形とか契約者じゃねぇかって? 違ェよ、俺は」
男は相変わらず目を見開いていたが、その瞳には光がなく、まるで一切の希望を失ったかのように、虚ろだった。
「……へ、違うんスか!? 待って! そっちの方がヤバいっスよ?! あんなの、ただの人間にできる業じゃねぇ!」
「……はっ、説明は後だ」
そういって薫は、男の顔をのぞきこむようにしゃがんだ。
「なぁ……懺悔してくれるよな?」
男は、小さく、だがハッキリと頷いた。そして、蚊の鳴くようなか細い声で、語った。
そのあっさりとした結末を、竜門はただ見守るしかない。
「それじゃあ、約束通り、楽にさせてやろう」
用済みとなった男に、薫はまた脚を振り上げる。
「Good night. Mother fucker」
竜門が思わず身構える。だが、生気の無い虚ろな目の男を、苦しみから解放した……絶命へと至らしめたのは、ただの蹴り1つだった。骨が砕け、地肉が弾け出す、嫌な音がした。
「……さて、竜門くん。お仕事の時間だ。しっかりみょうりんに伝えてやれよー……この夜宮組の島に薬をバラ巻いたクソ馬鹿野郎の親玉は__」
黒幕の名を聞いた竜門は、薫の予想通り、マジっスか!?と叫ぶことになった。
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