ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【参照100thanks!!】 ( No.24 )
- 日時: 2016/01/23 11:17
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
クラスメイト達はざわめいて、東道と、2人がのぞく出入り口から距離をとった。そんなあからさまに怖がっている反応を気にもとめず、2人はずかずかとクラスに入っていく。
「東道ー無視せんといてー、悲しゅうて俺泣いてまうわー」
「あららとうど……東道ちゃーん、意地悪はいけまへんでー」
「わぁああん、北町ぃ、東道にいじめられるー」
「ほら泣いてもうたー、とうど……東道ちゃん、誤りぃ」
「……ッ」
二人で机の上に乗り、しつこく話しかけてくる……もとい、からかってくる北町と南舘に痺れを切らし東道は、がたん、と椅子を激しく揺らし、立ち上がった。
「お前らアホか!? いや、アホやわ! もう俺に関わるないうとるやないかッ!」
「はーっ、冷たい男やわー、俺ら友達やんな?」
「せやでー」
「ふざっけんな! 俺はなぁ、友達なんてこれっぽっちも思うとらんわ! それに、北町! お前いつになったら俺の名前覚えるんや! お前の頭に詰まってるんわ脳ミソやのうてゴミかッッ!」
いきりたちながら東道が憤慨すると、南舘は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。子供のような無邪気なその笑みも、東道の目には、裏があるような気がして、不気味に映る。
「な、なんだよその表情は……」
「……ぃやぁ、さすが俺が見込んだ男ー、おもろいわぁ」
クラスもいつもまにやらいつもの賑やかな雰囲気に戻っていた。自分だけが何も楽しくなく怒っている状況に、東道は余計にイライラした。
「こンの……っ」
東道が今に叫ぼうとした瞬間、どこかの遊園地で流れているような、賑やかな音楽が鳴った。近くでなったため、どこの女子だと辺りを見渡すと、南舘が携帯をとりだした。その携帯にも、拘りのヘアピンと同じような、可愛らしいストラップがついていた。
「女子か……っ」
相手もどうせ彼女なんだろ、と嘆息すると、すっと南舘が真剣な表情になって、東道は少し息を詰まらせた。
「はい……はぁ、関東から。ご苦労さんやねぇ。……ほな、いくわ」
東道が変わりように呆然としているうちに、通話を終えた南舘が、携帯をしまった。そして、いつのまにやら窓際で焼きそばパンを食べていた北町に、声をかけた。
「まぁたそんなことして、天然さんやなぁ……来てはる?」
話をのみこめないまま東道がそちらを見やると、北町は、ん、と、校門の方を指差した。
「え……?」
そこにあったのは、黒塗りの大きな車。国産車のようだが、『いかにも』な車だった。
「あれって……もしかして」
「南舘んちのや」
北町が、一気に頬張ったパンをのみこんでそういうと、何もいえないでいる東道の肩に南舘がぽん、と手を置いた。
「東道……一緒に来てぇや。お前気に入っとるから、親父はんに、会わせたい」
出会ってから初めて感じた、親譲りの南舘の気迫に圧された東道は、思わず、
「はぃ……」
と、顔をひきつらせながら返事をした。