ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【参照100thanks!!】 ( No.27 )
- 日時: 2016/02/04 19:00
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
「……話はついたな。ほんなら、遠慮なく潰させてもらうで、秦野[ハタノ]組」
ギラリと黒々しく、不気味に、しかし美しく光る刀、『彼岸花』を目の前の義理の父親につきつけたまま、話を力技でねじ通して、関東から遥々、傘下組を1つ潰すことを交渉に来た、夜宮 明里は言い放った。
その空間に居合わせた人々の反応はというと。
「ホンット、馬鹿だな……」
穏やかに交渉するつもりだったのに、そのプランを容赦なく崩れさせた明里を、もはや諦めの冷めた目で、心半ばのまま見つめるのは、『探し物』を手に入れるために、彼と血を越えた繋がりを持った人形、天羽 早綾。
「ははは、組長さっすがー」
「師匠、流石やなぁ〜」
と、にこやかに、そして久しぶりの師匠の迫力ある姿を見て嬉しそうに言ったのは、可愛らしい男の子タイプに見えて、実は肝が座っているどころではない、極道の血を色濃く引く南舘 宴。……そして、現役高校生に見事にシンクロして、この場に合わない笑い声を発したのは、こう見えて三十路、一向に若頭をつけようとしない明里と長く共にいて、もはや若頭で良いのではないか?と思えば、明里にアホすぎて無理、と拒否される櫻田 竜門。
「あー……目ぇ覚めた……」
真顔でそういうのは、車に降りる際にたたき起こされ、暫く時間がたったというのにまだ眠たそうに目を擦っていて、この展開をもって、やっと意識が完全に覚醒した、金髪ではあるが一見知的に見えて、実は天然、北町 真治。
「……」
実に真剣な眼差しで親子のやりとりを見ているように見えて、心の中では、『はぁー、少し心配やったけど、櫻田は良い主人を持ったんやなぁ』と、呑気に同僚を思って安心しているのは、青堂組若頭補佐、酒浸 雨鶴。
「こぇええ……ッ!」
拳を正座した腿の上で握りしめ、ガタガタと震えながら、小声で、しかし隣にいる南舘に向かって叫ぶように言っているのは、この中で唯一の、ごく普通の一般人でありたいのに、『盾島の狂犬・鎖』コンビに見込まれてしまった、哀れな、哀れすぎる常識人、東道 幸。
「いつまでたっても、唯我独尊、傲慢、我が儘! クソガキのまま変わっとらんなぁ、明里」
多種多様な反応の中、義理の息子に、刀をつきつけられた本人、黒髪オールバックに、左目にワインレッドの布で眼帯をした、東馬会トップ、青堂組組長の青堂 威鮫は、お前はまだまだだと言わんばかりに、あからさまに馬鹿にした目付きで、ニヤニヤと下から明里を睨み付けた。