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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛 ( No.3 )
- 日時: 2016/01/03 18:06
- 名前: 吉田 網張 (ID: jV4BqHMK)
あの組のアイツがどうの、さっきの奴らは前からどうのだのと、物騒な話を何ら世間話と変わらない調子で話す男二人の後ろを、人形である天羽 早綾[アモウ サアヤ]は、自分のペースで、しかし見失わないようについて行っている。
この3人は同時に行動することが多い……特に人形である早綾は狙われることもあるため、二人から離れて行動することは、危険を極めていた。といっても、チンピラの3人4人なら、平気で片付けられる程の実力はある。
「……あー、つっかれたー!」
「うるせぇ、クソ竜門」
「静かにして、馬鹿」
都市に建つそこそこ高いビルディング。表向きは建築会社だが、実質は夜宮組幹部達の本拠地である。
その一室は、ホテルのスイートルーム顔負けの明里の部屋となっている。 そこに入った途端に大声を上げ、二人に罵声を飛ばされたのは、顔に傷のある、笑顔を絶やさない、夜宮組のナンバー2である櫻田 竜門[サクラダ リュウモン]だ。
彼は早綾の次に明里に近いといえる男で、力だけで言えば明里とも渡り合えるかもしれない手練れだ。
力だけなら若頭の地位を手に入れるのだが、二人にもいわれている通り、所謂、馬鹿だった。その精神年齢からか若く見られることも多いのだが、すでに三十路である。
この部屋には、早綾と竜門がよく出入りしているが、舎弟たちはおろか、他の幹部たちが立ち入ることはほぼ無い。
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