ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【参照300thanks!!】 ( No.36 )
- 日時: 2016/03/26 11:20
- 名前: 吉田 網張(RINBYO) (ID: jV4BqHMK)
「そ、それは洒落になんないス……」
竜門は今でも明里を恐怖し、恐れている。それと同時に、一生忘れることも拭うこともできない憎しみも抱いている。
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竜門は、その人並み外れた力を毎晩のようにふるっていた。自分自身でさえも、それをもて余していたのかもしれない。
そんな彼を止めたのは、一人の人形だった。
__痛々しい痕に、こんなにハッキリと残る傷をつけられたのは、初めてだった。
「……櫻田との約束を果たしてない……まだ、死ねない……っ」
「…… っ!」
「あれ、どうしよう、動かないや……足、が……」
「もういい、 。俺が…… の分まで、きっと……」
「お別れは終わったか? 俺に挑めばお前は死ぬんや、すぐ再会させたる」
怨念につき動かされるままに、怒りのままに。復讐の鬼と化した竜門は、満身ソウイ、傷だらけの身体で、唯一無二の友を殺した敵に、明里に拳を叩きつけた。
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「あん時も、今も、馬鹿は直ってへんな……竜門」
ぎりぎりと、明里の爪が竜門の傷に食い込む。その痛みに、竜門は呻きを漏らした。否応なしにあの時のことを思い起こさせられ、精神的にも、竜門は辛い痛みをその身に受ける。
「……俺、そんなに怒らせることしました?」
慎重に、探るように言った竜門のその問いに、明里は怒りまじりの呆れ顔を見せた。深くため息をついて、更にその指に力を込める。
「お前が今生きてるんはなんでや? ほんまはあん時死ぬ筈だったお前がや、なんで今生きてる?」
「……っ、組長、痛、い……っス」
「そのくだらん約束だかなんだかのために、俺に従うことに決めたからやろ? お前は俺の好きなように動かされてればええねん。俺がやれ言うたことをやって、黙れ言うたら黙れ。分かったか?」
「……っ」
いつになく冷たく突き刺さる明里の視線に、竜門は言葉を詰まらせた。否、理由はそれだけでは無い。明里から見て、自分はやはり『道具』で、『駒』でしかないのだと……彼のその孤高の支配者であり続ける非人間性に、かつての自分のような危うさを感じたのだ。
「分かったかって、聞いとるやろ……ッ」
「いや、組長つ」
竜門が慌てて弁解しようとしたその時、バンッ、と、乱暴にドアが開いた。
「お前ら……ッ!! ぅるっっさいんだよ……!!!」
入って来たのは、先程部屋を出ていった早綾だった。
「馬鹿でしょ!? 他の人もいるの! 家じゃないの! いや、家だとしてもうるさすぎっ! お前らはちゅうがくせ……」
そこまで言ったとき、早綾はピタリと、浴びせていた罵声を止めた。
「何勝手に入ってきてんねん、うるっさいんはお前やろ……っ」
明里が、怒りの視線を早綾に向ける。