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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【暴力表現有】 ( No.4 )
- 日時: 2016/01/03 20:48
- 名前: 吉田 網張 (ID: jV4BqHMK)
明里は、部屋で存在感を放つキングサイズのベッドに腰かけた。
「それで……なんでお前は血塗れなんや。あのチンピラ風情にそこまでやられるんか」
「あ、これ、大体返り血っス。つーか女の子一人守りながらってなかなか難しいんですよ? それに相手キマっちゃってましたしー、鉄パイプ対、素手!! そこらへん分かってくださいよー」
もーやだなぁ、といいながらヤレヤレ、と仕草で伝えようとする竜門。それをスルーしてヤクか……とまた苛立つ明里。早綾はいつのまにやら持ってきたお菓子を頬張っている。てんでバラバラで、協調性の欠片もない。
「俺の島で勝手に薬ばらまくゴミクズがおるんやな……」
「とんでもない自信家か、とんでもない馬鹿っすねぇ」
「お前みたいな、な」
夜宮組は、許可した以外の売人や傘下組が薬物を売ることを禁止していた。
組の人間が薬に手を染めて使い物にならなくなったら笑い話にもならないし、下手な奴と関係をもって、こっちまで警察にしょっぴかれたらそれこそ阿呆な話……というのが明里の考えだった。
しかし最近、否認可の組織がここで、つまり夜宮組の支配する場所で薬を売っているという話がでていた。
話のみならず、その関係者を幹部の一人が捕らえたのだが、それが拷問にかけてもなかなか口を割らない鉄腸漢なのだ。
「……チッ、奴がゲロすれば早い話なんやけどなぁ」
「そうっすねぇ」
「あの人、呼べば良いじゃん」
やっと口を開いた早綾のその言葉に、明里は反応して、あからさまに嫌な顔をした。
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