ダーク・ファンタジー小説

Re: 錆びた刃と赤い蜘蛛【暴力表現有】 ( No.7 )
日時: 2016/01/04 12:48
名前: 吉田 網張 (ID: jV4BqHMK)

 ガガガ、と砂利が擦れる音がして、教会の前に車が停まった。
 教会の近くは木が道路に飛び出るように枝をのばしている箇所があったり、砂利道だったりしていて、道が悪い。なので二人は、弾避けなどにつかう国産車で来ていた。
「うーん、久しぶりっスねぇ、此処に来るの」
「……そうだね」
 極彩色のステンドグラスに、昼間の太陽の光がさしこんでいた。建物の頂にある十字架も、光を反射して輝いている。
「……いくよ」
 早綾の声に、教会を見上げていた竜門は、はーいと返事をして、歩みを進めた。
「……」
 閉ざされていた扉を開くと、厳かな音楽の流れる、なんとも言葉で形容し難い空間が現れる。まるで外とは……ましてや極道の世界の喧騒とは別の次元であるような、そんな雰囲気である。
「なーんか、こういうとこって話するの躊躇いますよねー、神様に怒られそうっていうかー?」
「……じゃあ喋らないで」
 今まで何人にその拳をふるって来て、時には殺した彼が「神様に怒られそう」というのはなんともおかしなことだ。
 しかし竜門がそういう人間だというのは早綾もわかりきっていること。あえて何も突っ込まず、祭壇の方へと向かう。