ダーク・ファンタジー小説
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.1 )
- 日時: 2017/01/28 08:56
- 名前: 月兎 (ID: RwjcxD6e)
序章〜忍び寄る怪異〜
「………」私は黙ったままだった。「葉子、顔色が悪いぞ。どうかしたのか?」
「………」ある出来事以来、私は父に心を閉ざしたままだ。「別に……パパになんか関係ないでしょ……」「どうしてだよ…パパはお前を心配して言っているんだぞ?」……嘘だ。嘘に決まっている。パパがそんな事思う訳ない……だって…
~パパがママを殺したから~
「その話、ホントなの?」「うん。ホント。」静香はきっと驚いているだろう……殺したなんて思っている訳ないから……「最近元気ないね。どうしたの?」「えっあ、そう?」はぁ、どうしたんだろ私。「保健室にいけば?」
保健室にいけば先生がパパに連絡してパパに私の元気がないことがバレてしまうだろう。そうすればいつか私が例の事件について知っていることにパパが
気付き口封じをするだろう。「いいの。私の事は気にしないで……」
「私が心配性なの知ってるでしょ?だから、正直に言って?ね!!誰にも言わないから!!」「…しつこいよ……」「あ、ごめん!!でも不安な時はいつでも言ってね!!」「わかった。」
ープルルル……
「葉子、携帯なってるよ。」「あ!!ホントだ!!」
ピッ(携帯の操作音)
「もしもし?」
『あっ葉子?』
「どうかした?」
『明日図書館行かない?』
「いいよ!!」
『じゃ!!今から心霊サークルあるから!!』
ピッ
まったくもう……弓美はマイペースなんだから……「あ!!今日塾あるんだった!!バイバイ!!」「…バイバイ。」家に帰りたくない……家に帰ったら…
ねぇママ!!おそとにでてもいい?
ダメよ。外に出たら雪で転んじゃうでしょ?
えー!!ちょっとだけ!!ね?いいでしょ?
ダーメ!!
え ー!!
4歳の時、勝手に外に出て雪で転んじゃったんだ。その時私は泣いちゃて……助けてくれたのはママだっけ?あの時は本当に嬉しかったな……でも、そのママはもうこの世にはいない……そしてそのママを天国送りしたのはパパだ……これからどうすればいいのだろうか……パパと2人で暮らしていくなんて…とてもできない。パパなんていなくていい。どこかへ行ってしまえばいい……きっと誰かが私を引き取ってくれるだろう……
~黄昏の帰り道、私は絶望を背負って歩いていた~
To be continue
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.2 )
- 日時: 2016/02/05 16:20
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
「葉子、おそーい!!」「あ、ごめーん!!」私は駅前で手を振っている弓美に向かって手を振り返した。「どうして遅れたん?私ずっと待っとったんよ?」相変わらず言葉がなまっている…「ちょっと寝坊しちゃって…」「ふーん…ま、いっか!!」……違う…本当は……そんなんじゃない……もっと恐ろしい事が……「どうしたん?顔真っ青やけど…」「ううん、なんでもない。ちょっと考え事してただけ…そ、それよりもほら…図書館いくんでしょ?」「そう……知ってるやろ?私の特殊能力…隠しても無駄やで…」弓美が本気になると怖い。別の意味で……
「図書館到着!!さてと…これからどうするか…」「え?決めてなかったの?」「う、うん…まぁ…ね……」「今から決めよっか!!」「そ…そんなぁ~」
行かなければ良かった……今考えるとそう思うけど……だって……誰も思わないよね……まさか、あんな事が起こるなんて………あの20分は悪夢だった……弓美……ごめん……私のせいで………
20分前……
「ねぇねぇ!!この街の七不思議って知ってる?」「何?それ…」
「①、星空小学校の廊下をむやみに走るとなぜかつまづいて頭から血を流して死んでしまう。②、階段の踊り場の鏡を44秒間見つめると、あっちの世界に引きずりこまれる。③、1年7組の名札をつけた目のない女の子に会うと目をくりぬかれてしまう。」
「ちょっと待って!!怖すぎるよ…それ……」「え…そう?じゃあ解説をす「もういいって!!」
キーンコーンカーンコーン……
(チャイムなんてあったっけ?)
『いまかラ、おにゴッコをはジメます……せいゲンジカンハ20ぷんです……オニのみナさんハ、せいゲンジカンイナイにターゲットをコロシテクダサイ……ターゲットは、月森 葉子、河野 弓美、霜田 瑠璃香の3人デス……ソレデハハジメマス……』
(……殺す?一体何がどうなってるの?)
コツ……………コツ…………コツ………コツ……
「誰か来てる……」「…え?どうすればいいの?」「どうするって……逃げるんだよ…」「ゆ、弓美は…どうするの?」「私かい?私はここで囮になるから葉子は先に逃げてて……」「え…でも……」「いいから早く!!!!」「う、うん…分かった……」
私は逃げて逃げて逃げまくった。でも……いくら待っても弓美は現れなかった……
キーンコーンカーンコーン……
『ミナサマにオニゴッコのシュウリョウをお伝えイタシマス。オニのものは スベテシンデクダサイ……』
(終わった……?)
私は最後に弓美としゃべった場所に行った……
「……弓美?どこに…いるの?いるんなら…返事して……」
でも、そこに生きている弓美の姿はなかった……そのかわり…1体の屍が転がっていた。
「弓美?……………弓美!」
そこには変わり果てた姿の弓美がいた……
私の目からとても冷たいものが流れ出した……
親友を失った想いと弓美を救えなかった想いだ……
その涙の味はほろ苦かった……
それと同時にめまいに襲われ、屍の横に倒れてしまった……
ふと、生暖かいものが額に触り私は目覚めた。
額に手を当て、自分の目で『それ』を確かめると……………
血だった……
………弓美がいない……
「気づいた?」「え?あなた…誰?」「もぉー……命の恩人になんてこと言うのさ……あたしの名前は霜田 瑠璃香(しもだ るりか)!!よろしく!!」「よ……よろしく……」「あんたの名前は?」「つ、月森 葉子……」「あたしねぇ…死体解剖してんの!!あんた、死んじゃってんのかと思ってさ……」「……ひっ!!死体……解剖?」「そだよ。こう見えてさ、あたし26歳だからね?」「そうなんだ……」「あんまりここに長居するのは良くないからね…一刻も早くここを出ないと…」
~絶望と希望…それは「死」と「生」でもある……希望を失った者は早くに死
んでしまう。弓美は友達のために鬼に立ち向かったが、本当にそうなのだ
ろうか…葉子と一緒に逃げる事は出来なかったのだろうか…~
To be continue
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.3 )
- 日時: 2016/02/13 22:14
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
「葉子って星空小?」「う、うん」「へぇー…あの学校、丑三つ時になると赤い服の女が[でる]って知ってる?」「ううん、知らない…けど…何?それ…」「40年以上前にこの学校で亡くなった女先生の霊だよ。今も自分が死んだ事に気づかず校舎内をさまよってる。もし女先生に見つかると……」「何?」「そのまま倒れて意識不明。原因は分からないよ。ただ……」「ただ?」「女先生に見つかって助かった人は一人もいない」「ひっ!!」「ああ、心配しなくていいよ。それと…女先生は青色のものが嫌いらしい。」「どうして?」「さぁ……知らない。それよりもさぁ…丑三つ時の学校、行ってみない?」「いっ……行きたくないよ……夜の学校……」「怖いの?」「そりゃそうだよ!!」「あちゃー…そうかー…残念だねー。」「だって…死ぬんでしょ?」「あたしについて来れば大丈夫だって!!」「本当かなー……」
8月8日午前1時40分星空小学校正門前……
「……本当にやるの?」「…………………………………………………………………………………」「?」「…………………………………………」「何かしゃべって?」「どしたの?」「いや、なんでも…」「じゃ、入ろ。」「………。」
つづく……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.4 )
- 日時: 2016/02/14 08:38
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
ママはどうして死んじゃったの?
寿命が来たんだよ。
えーなんでー?
寿命はね、人それぞれ決まっているんだよ。
(嘘ばっかり…父さんなんか嫌いだ……本当は母さんは……銃撃戦に巻き込まれて死んだのに……旅行先で巻き込まれた……私が悪かったの?違うよね?本当は…本当は……)
月夜の中、私達は夜の学校を歩きまわった。結局【赤い服の女】は見つからなかった。でも、それで良かった。もし見つかると死んでしまうから…
「見つからなかったかー…」「いや、見つからない方がいいよね?」「実はあたし、あの女先生を見つけて成仏させてあげたかったんだ……」「え!?」「あの女先生、本当にかわいそうなんだ……。……学校側の不注意で起こった……あの先生ね、生前はすごく優しい先生で、その時代は学校でも普通に体罰があったの…それが、女先生はいくら生徒が悪いことをしても悲しそうな顔をして注意するだけだったの…その子の母親のような接し方だったよ…だから生徒たちはこれ以上先生を悲しませるのはいけないと思ってきちんと学校生活を送るようになったの…でも、ある日事件は起きた……それがかなり惨くてね…体育館の天井の電気、あるでしょ?アレが先生の頭に落ちてきてね…その時は体育をしていてね……大きな音がしてね…生徒たちが何事かと後ろを振り向くと……先生が大量出血を起こしていて……生徒たちはすぐに職員室に行って助けを呼んだの…先生が血まみれになってたおれてるって…教師はすぐには救急車を呼ばなかったんだ…なぜかって?その教師、『授業中』って言ったんだよ?信じられない…事件の大元となった電気は古いものだったみたい…しかもそれだけが…あとは全て新しいものだったよ…その後、事件は[事故]として扱われてしまったの…そのせいで女先生は死んでからも成仏できずに怨霊と化してしまったの……その後、夜の学校に女先生の霊が[でる]って学校中に噂が広まってしまったの……先生、すごく辛かっただろうね……みんなに怪談扱いされてたから…でも、女先生は夜現れて生徒を殺したりなんかしなかった…だって先生は生徒が好きだから……それで、当時事故扱いしてた先生たちは学校の屋上から飛び降りて自殺してる…女先生のしわざなんかじゃないよ…だって…あんなに優しい先生が人を殺すと思う?ただ、あの先生はまだ成仏できてなくて…学校中をさまよってるの…それもみんなには姿が見えない《かたち》で……だってみんなを怖がらせたくなかったから……たぶん今でもずっと…生徒たちを見守っているんだろうね……じゃ、帰ろうか……」「うん……」
~昔この学校で亡くなった女先生は今もこの学校のどこかで生徒たちを見守っている。怨霊は怨霊でも、怨念の強い者のみが人をおそう。最初はこの女先生も憎しみを持っていたが、その憎しみはいつしか優しさへと変わっていた。
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.5 )
- 日時: 2016/02/19 12:41
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
星空小学校には過去に何かがあった。その過去を追求するために私は夏休み中の学校の広報部を訪ねた。ある学校新聞にはこう書かれていた。
『特集!!~女子生徒の謎の変死体~
………1982年10月8日午後1時53分掃除時間中のAさんが女子生徒の体の一部を発見。同じ年の同じ月の14日またもや女子生徒の体の一部を発見した。発見された体の一部は「右腕」、「左腕」、「右足」、「左足」だ。残りは「頭」のみだ。』
(何?これ………気持ち悪すぎる……やり過ぎだよ……)
『女子生徒バラバラ死体事件の犯人は【きり子さん】ということが判明した。』
(え……きり子さん?今度瑠璃香さんに会ったら聞いてみよう。)
『1984年6月7日午前10時28分新たなバラバラ死体が発見された。この死体も「頭」のみ見つかっていない。これで心霊部の調査報告を終了する。』
「あの…何かご用ですか?」「え?あぁ……ちょっと気になる事があって……」「どうかしたのですか?」「【きり子さん】の事、知らない?」「実は私、その事に関してはあまり知らなくて…ごめんなさい……」「あ!!…別にいいのいいの!!気にしなくて……」
—1カ月後……
「よ!!葉子。」「あ…。何ですか?」「何って……葉子が呼んだんじゃん。」「あの、【きり子さん】って知ってますか?」「もちろん!!んで、それについて知りたいの?」「うん……」「【きり子さん】はね、電車にひかれて体がバラバラになってしまったの。」「どうしてひかれたの?」「遮断器が降りなくて……。その子、目が見えなかったの……そこで裁判所は会社に賠償金を命じたけど……お金で解決するものじゃないよね?女の子は強い怨念を持っていたの……それで、怨霊になっちゃた……怨霊はね、怨念が強ければ強いほどひどい悪さをしてしまうの。」「でも【きり子さん】に襲われた人たちは何もしてないよ?」「うん……そこが分からないんだよね……」「分からない……ですか?」「そりゃ、あたしにだって分からない事ぐらいあるさ!」「あ…うん……でも瑠璃香さんが分からないって珍しいですよね?」「あたしは死んだ母さんがやり残した事をやり遂げて母さんの気分を晴らしたいだけなんだ……母さん…意外にもオカルト好きでね……あたしだって最初から怪談を信じてたわけじゃないよ?でも…母さんが死んでから何もかもが上手くいかなくなって……その時ふと思いついたんだ…怪談と向き合う事で母さんと心が通じあうかもしれないって……。」「それで、怪談を信じるようになったんですか?」「だから…信じてるわけじゃない……怪談と向き合っているだけだよ……」「?」「葉子にはまだ分からないかもな…この事が……ま、大人になればきっとわかるよ!!」「辛い……んですか?」「……葉子…君はさとり妖怪なの?」「べ…別にそんなんじゃありませんけど……」「……ツンデレ?」「ちっちがいますよ!!そんなんじゃありません!!」「やっぱりツンデレ?」「……………ッ……しつこいですよ。」「あぁごめんごめん。真実を追求しすぎた。」「本当に反省してるんですか?」「本当だよ!あ、ごめん。笑いそう……」「……ひどいです……。」
こうして私と瑠璃香さんの雑談は盛り上がっていった。
しかし…2人の様子を陰でこっそり見ている[何か]がいた………
To be continue ……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.6 )
- 日時: 2016/03/06 16:37
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
私達をこっそり見ていた[何か]は次第に私達との距離を詰めてきていた。 しかし、私は[それ]に気付かなかった。ある恐ろしい事が起こるまでは… それは学校で起きた。私が荷物整理をして帰ろうとすると………… 『た……て………か……』 (?) 『だ…か………けて……』 (誰かが助けを…呼んでる?) 『いたいよ…たすけ…て……』 (やっぱり誰かが助けを呼んでる!) 『はやく……しんじゃう……おねがい……たすけて……』 (でもどこにいるんだろう…) ガタンゴトン…ガタンゴトン…… (電車の音?) ガタンゴトン…ガタンゴトン…… (でも電車なんてなかったはず……) ガタ、キキー!!ドン!グシャア…… (うぇ……今の音…何だろう……) 私は今の音を聞いて嘔吐とめまいに襲われた。そのまま床に座りこんで精神の回復を待った。 (人が……ひかれた?) 『つギニしヌのはだぁレ?』 (…!?) 『フフ。カクれテモむダだヨ。すグニみつけルカラ。』 (ね…狙われてる!?) 『あハハ。どコニいるノかナ?』 (そ、そうだ!携帯…携帯で助けを……ってここ学校か……どうすればいいんだろ……) 『月森 葉子、みーツケタ。』 声はしたが、そこには誰もいなかった。それとも見えない[何か]が私をじわじわと追い詰めているのだろうか…… 『ねェ…どこカラ切られタイ?』 (ま…まさか……【きり子さん】?ど、どうすれば……) 『ジャあ、わタしがえラブね。』 (このままじゃ…殺られる!!) 『フフフ……』 「やめなさい。」 (?) 「怖がっているのが分からないの?」 私が左をむくと赤いワンピースの女性が立っていた。 『ちっ……』 「お願いだから二度と現れないでちょうだい。」 女性はきっぱりと言った。 『……………………………』 (消えた?) 「大丈夫?」 「は…はい……」 女性は優しそうに微笑んでいる。 「暗くならないうちに帰ってくれる?」 私は女性の視線に押されるようにして教室から出た。 女性は校門まで送ってくれた。 私は女性に礼を言おうと後ろを振り向いてみたけど女性の姿はもうどこにもなかった……
(あの先生、どこに行ったんだろ……)
「葉子!何してたの?ずっと待ってたのに…」「あ…ごめん……実は【きり子さん】に会っちゃって……」「訳の分からない事を言わないで!!正直に言ってよ……」「だから本当に「もういい!!葉子の事なんて知らない!!」
その夜、静香が電車にひかれて亡くなった。
(私のせいで…私のせいで静香は死んだんだ……私があの時謝っていれば…静香は死ななかった……)
静香の葬式で静香は遺影の中で微笑んでいた。だが、その表情にはどこか悲しげなものもあった。
弓美に続いて静香まで死んでしまった…私の心は再び大きな闇の渦に飲み込まれてしまった。
「……………。」「あの……?」「葉子…【不幸を呼ぶ女】って知ってる?」「何ですか…それ…」「元気ないね…大丈夫?」「……。」「本当に大丈夫?」「受け入れられなくて……」「…最初は辛いことなんて受け入れなくていいよ。」「……え?」「だって…辛いんでしょ?」「そりゃ…まぁそうだけど……」「【不幸を呼ぶ女】はね、結局全てを受け入れてしまったせいでたくさんの不幸を呼んでしまったんだ…葉子もそんな風になりたくないでしょ?」「それもそうだけど…少しは辛いことも受け入れた方がいいんじゃ……」「その小さな積み重ねで辛くなってしまったんだ……」「………。」「…狙われてるんじゃないかな……」「え?」「怪異に狙われてるんだと思うよ……」「どういう意味ですか?」「葉子、生まれたときから不幸だったりして……」「ちょ…ちょっと……変なこと言わないでくださいよ!!」「…だとしたらどうしてそんなに怪異が起こってるの?」「それは………」「それは?」「………」「葉子、受け止めてみなよ…あたしの言うこと。」「……そう…ですか……」「うん。そっちの方がきっと気が楽になるよ。」「でも私、怖いです…」「どうして?」「だって…怪異ばっかり起こってるから……」「そうだよね…普通の人は信じれる訳ないよね……ねぇ、葉子…心霊写真って知ってる?」「まぁ私は信じてませんけど…」「まぁ…信じてない方が幸運だよ。」「どうしてですか?」「もし、ある写真を心霊写真と決めつけたとしたら……決めつけた人はどんな気持ちになると思う?」「心霊写真を見つける事ができたという嬉しい気持ちですか?」「でも、それが本当に心霊写真だとしたら?」「……あ!その人は心霊写真じゃないって言い張る!!」「大正解……。」「だから、信じない方がいいんですか?」「ただ……。」「ただ?」「怪異を信じた方が身のためだということもあるんだ…。怪異に狙われていたとしても……」「それ、遠回しに私の事言ってますよね?」「……葉子、自分が怪異に狙われてるって思ってるの?」「べ、別にそんなんじゃありませんけど……」「そんな事を言ってられるのも今の間だけだよ……怪異はどんどんふくらんでいくんだから……」「そんな……どうすれば……」「じゃあ、また今度会おうか。」「…はい……。分かりました……」
瑠璃香さんの一言で私の不安と絶望は一気に倍増してしまった……これから先、私はどうやって生きていけばいいのだろうか……未来の予測が全くできないまま、生きていくのだった……
To be continue……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.7 )
- 日時: 2016/03/04 17:42
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
「今日は転校生がいます。みんな、仲良くしてくださいね?」
「では、自己紹介をお願いします!」「…… 影異怪華(かげいかいか)です。 よろしく……」
ドアから入ってきた女の子は、おとなしそうだった。
「好きなものは怪談です……」
髪の色は銀髪で、私たちと一緒になれば目立ちそうだった。
「何だあいつ…」「さぁ…」「よりによってこのクラスだなんて…」 教室中で野次が飛び交った。 「みんな、落ち着いて!この子は普通の女の子だから!」
放課後……
「ねぇ…さっきは…ごめんね?迷惑かけて…」 「別に…」
(この子…冷たい……)
「ねぇ!今度…一緒に遊ばない?」「私…遊びは嫌いなの……」「え……そうなの?じゃあ……おしゃべりは?」「それも嫌い……」
(この子といると、何だかこっちまで元気なくしそう……)
「じ…じゃあさ、何だったらいい?」「…怪談話。」「え?」「だから怪談話って言ってるでしょ?」
怪華ちゃんは怪談のときだけは明るい声で話してくれた。怪談のときだけは……
「ねぇ葉子ちゃん…」「何?」「【四隅の怪】って知ってる?」「?」「知らないんだね…まぁいいや……じゃあ【薔薇殺人】 は?」「それも知らない…」「ふぅーん…何も知らないんだね……」「し…しょうがないでしょ!!私にだって知らないことはあるよ……」「あ、そう…」
怪華ちゃんは謎が多かった。だが、ある出来事で私と怪華ちゃんの仲を深めていく事になった。
To be continue……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.8 )
- 日時: 2016/03/05 07:47
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
その出来事は、旧理科室で起こった。
私達は理科室で実験の準備をしていた。しかし、顕微鏡が足りなかったので理科係であった私は北校舎の旧理科室まで取りに行くことになった。
けれど北校舎にまつわる怪談がいくつかある。
例えば、壁の中に何かが潜んでいる、解剖模型が動く、謎の話し声が聞こえる、などたくさんの怪談がある。
そして、私は体験した怪談もこの中のひとつだ。
(あそこ行きたくないな…)
「どうかした?」「あぁ…怪華ちゃんは知らないと思うけど、北校舎は何かがあるんだよね……」「?」「あはは…行けば分かると思うよ……」「どうして元気がないの?」「…今の話聞いてた?」「うん!」「…言ってる意味も分かったの?」「うん!」「怪華ちゃん…まさか、怖いの平気なの?」「まぁね!」「別に自慢する事じゃないと思うけど…」「そう?」「あ…もうすぐ着くみたい……」「…………。」
「ええと…これだっけ?」
(何で怪華ちゃん入って来ないんだろ…まぁとるもの取ったし戻ろう!!)
(………)
(…………?)
(あれ…?)
(足が……)
(動かない…)
私が恐る恐る下を向くと……………………
[肉]が足をつかんでいた。そして、顔がこちらを覗きこんでいた。
(ひっ………か……………解…………解剖模型…………)
「いっ……いやーーーーーー!!」
ーガラッ
「葉子ちゃん!!どうしたの!!」
「た……助けて……」
「ちょっと待ってて!!今助けるから!!」
(どこかに鋭利な刃物は……)
(あった!!この解剖バサミであいつを……)
「葉子ちゃん!!目を瞑って!!」
「え……」
「いいからはやく!!」
「あ…うん………」
怪華ちゃんの持っていた解剖バサミの刃が解剖模型の筋肉に近づき……
むごい音がした…その後も何度も何度も……
ドチャ…グチェ……
こんな音が5分くらい続いた……
「葉子ちゃん、もう終わったから目をあけていいよ。」
穏やかな声がした。そして私は目を開けた。
「危うく解剖模型になるところだったね。」
「……ありがとう…助けてくれて……」
「ううん…いいのいいの。」
「そういえば、あの解剖模型は?」
「解剖模型?それならゴミ箱に捨てたよ。」
「え…」
「あの解剖模型、強大な霊気が宿ってたみたいなの。だからあのゴミ箱には決して近づかないでね?」
「そんな事言われても…ゴミはゴミ箱に捨てるものだから……」
「あの解剖模型、レプリカじゃないよ…」
怪華ちゃんが低い声で言った。
「昔の校長先生の肉を加工してできたのがコレでしょ?」
「どうして…そんな事…知ってるの?」
「この学校、何かあると思ってね…昨日調べてみたんだ。」
「それで?」
「この学校の教師は許可なく校長先生の遺体を解剖して……念が解剖模型に入っちゃたみたい……」
「それで生徒や先生を襲うようになったの?」
「うん…そうみたい…」
この学校にあった過去、それが今日まで受け継がれていく怪談となった。葉子たちはこの先どうやって怪異を乗り越えていくのだろうか。
To be continue……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.9 )
- 日時: 2016/03/10 07:45
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
「今日は葉子にプレゼントがある。」「……………」「どうした?葉子。」「別に…………」「あのな、父さん思ってるんだが…お前はどうして外に遊びに行くんだ?」「良いじゃん別に……」「どうして分かってくれないかな……」「で、何?」「冷たいなー……そんなんだったら立派な大人になれないぞ?」「もう学校行って来るから……」「お、おい…もう少し話をし「行ってきます。」「……………。」
「葉子ちゃん、おっは…」「お、おっは…」 「今日は何する?」「うーん……何で私に振るわけ?」「私は昔の城に行きたいな…」「はい?」「だめ?」「い…いいけど……」「やったー!!」「………。」「どうしたの?」「普通そんな所行きたくないよね!?」「えっ…そう?」「そもそも行く時間ないよね!?」「じゃあ日曜日は?」「えー……」「よし!!決まり!!」「……。」
日曜日……
「葉子ちゃん、この城…〔出る〕らしいよ?」「…はい?」「だから、〔出る〕の!」 「もう一回言って?」「……今のは聞こえてたはずだけど…」「ごめん…」
私は怪華ちゃんに心を見透かされていたのかもしれない。だけど、もう遅 かった。今更引き返してもここからは〔出られない〕のだから……
ーギギィ……バタン!
「ねぇ、ここの扉…自動だった?」「さぁ?」「ねぇ…やっぱり帰ろう?」「……試しにその扉を開けてみて………」「…開けていいの?」「早くしないと、その内この城に取り込まれるかもよ?」「……。それってどういう意味?」「モタモタしてないで!!早く!!」「ぇあ…うん…」
私は扉を押したり引いたりしてみた。でも、全く扉の開く気配はなかった……
「…開かない……どうすれば…いいの?」「この城、結構〔ヤバい〕場所なのかもしれない……」
怪華ちゃんは低い声でそう言った。
「警戒した方がいいよ…この城、何が起こるか分からないから……」「………」「大丈夫?」「怪華ちゃん…私どうすればいいの?私怖い……」「…大丈夫。私が葉子ちゃんの事、必ず守ってみせるから。」「……ぇ…」「だから、安心して?」「うん…分かった…。」
今度は怪華ちゃんが穏やかな口調で言ってくれた。
好奇心で城に入った二人。そこに待ち受けていたのは、怒り、憎しみ、悲しみなどの負の感情ばかりだった。はたして二人は無事この城から出る事はできるのだろうか……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.10 )
- 日時: 2016/03/13 22:23
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
「ねぇ…どうすれば…いいの?」「うーん……とりあえず、城内を探索してみる?」「え…怖いよ…」「じゃあ何も解決しないままここにいるの?」「………。」
ーその頃… 「うーん…」「瑠璃香、どうしたの?」「いいや、なんでもない。」「今日ちょっとおかしいよ?」「友達と電話がつながらないんだ…」「え!?それ、結構ヤバいやつなんじゃない!?」「でも家に携帯を忘れたってことも考えられるし…」「ならいいんだけど… 」
一方、葉子たちは迷宮をさまよっていた。
「出口が見つからないなぁ」「そのまま骨にならないといいね。」「…ッ…不吉な事言わないでよ!!」「あはは。ごめんごめん。そんなに怖がるとは思わなかったよ。」「性格悪いね……」「…はい?」「いいや、なんでもない。」「…聞こえてたよ?」「…そっすか。」
…カタッ
「…え?」「今の音…何?」「気をつけて…何が起こるか分からないから……」「?」
その瞬間、怪華ちゃんの右肩付近に何かが飛んできた。
「何…今の…」「確認したみない?」「え……」
怪華ちゃんが〔何か〕に手を伸ばした。
「矢?しかも毒が塗られてる……」「毒矢!?危ないじゃん!!」「そうだね…この城、多分からくり屋敷だよ……」「そ、そんな…」「それに、ここで人が殺されてるよ…」「………」「足元見て?」「?」
私が恐る恐る足元を見てみると………
無数のしゃれこうべが転がっていた。
「うぅ…何…これ……」「………。だから気をつけてって言ったの。」「。」「大丈夫?」「もう…嫌だ……」「分かるよ?その気持ち…」「本当?」「うん。本当だよ。だから、歩こう?」「うん。分かった…… 」
私たちはしゃれこうべのエリアを抜けた。でも……
「ふぅ…やっと抜けた…」「でも、まだまだだからね?」「……。」「♪」
(怪華ちゃんは楽しそうでいいな…)
「次は…毒グモがいるみたい…」「………」「大丈夫。私がいるから。」「でも……」「…でも?」「もし、死んじゃったら…」「そんなに怖がる必要は ないよ?」「怪華ちゃんは平気なの?」「まぁ……」 「怖いもの知らずなだけじゃないかな…」「葉子ちゃん…もし…私が葉子ちゃんの敵だったら…どうしてた?」「そ…それは……」「まぁそれはいいとして……そろそろ進もうか。」 「うん……」
To be continue……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.11 )
- 日時: 2016/03/28 21:44
- 名前: 月兎 (ID: ADRuIPKx)
(………葉子…大丈夫かな?)
「瑠璃香!どうしたの?」「ああ、千香。前も言ったけど、あたしの友達が見当たらないんだ……」「まだ…なの?」「うん…どうしよう……」「警察に言う?」「うーん…」「一応……ね?」
「…………」 「ねぇ、夢で…見たんだけど……」「…何?」「この城の夢。」「どんな夢?」 「…この城には殺人鬼が潜んでいる。」「え…」「だから、気を付けて…いつ襲われるか分からないから。」「怪華ちゃん…守ってくれるんじゃ…なかったの?」「うん。もちろん守ってみせるよ。ただ、相手は大人…だと思う。」「ねぇ!!早く出よ!!」「…その気持ちも分かるけど…この城をもう少しだけ探索してみたいんだよね。ね?お願い!」「………。」
「一応警察には言ったけど…あたしの言い分聞いてくれてるのかな?」「まぁ…きっと大丈夫だよ!瑠璃香が大人が嫌いなのは分かるけど…」
瑠璃香が大人を嫌いになったのは、ある出来事が数年前に起こったからだ。
それは、瑠璃香が今は亡き友達と買い物に行った時の事だった。
「次はどこ行く?」「えっ!あたしに決めさせるの!?」「じゃあ私が決めていいの?」「もちろん!」「私は2階のペットショップに行きたいかな……」「えー…あたしはゲームセンターに行きたかったなー…」「じゃあ瑠璃香ちゃんはゲームセンターに行ってていいよ?私はペットショップに行くから…」「ホント?ありがとう!!」「じゃあね!」「うん!」
これが彼女達の最期の会話となった。
「まだかな……もう待ち合わせ時間とっくに過ぎてるのに……」
♪〜
「ん?音楽?何かのお知らせかな?」
『ただ今、人身事故の為エレベーターの運転を一時見合せております。』
(人身事故?もしかして…)
瑠璃香は事故現場を急いだ。
事故現場には警察官がいた。急な事故だったために、ブルーシートをかけていなかったらしく少しだけ見えていたエレベーターの内部には首のない遺体が転がっていた。この様子を見ていた瑠璃香に警察官が気づきここから離れるよう促した。
でも、その遺体は瑠璃香の友達のものに間違いなかった。だけど、警察官は話を聞いてくれなかった。
「その時あたしは悔しくて悔しくて……」「瑠璃香…前を向いて?過去を振り返ったって何にもならないよ?」「…うん……そうだよね…前を向かないといけないよね……」
「…抜けた……?」「…みたいだね。この調子でどんどん行こうよ。」「…うん……」
つづく……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.12 )
- 日時: 2016/05/03 17:58
- 名前: 月兎 (ID: qbtrVkiA)
「ねぇ!もうすぐ出口だよ!!」「ホントだ…」「やっとここから出られるね!」「あ…でも…ひとつ引っ掛かる事があるの。言っていい?」「うん!いいよ!!」「夢の話、覚えてるでしょ?」「うん…」
「殺人犯…本当にいないのかな…」
「………」
私は怪華ちゃんの低い声で言葉を失った。私は思った。
〜怪華ちゃんの言葉には説得力がある〜
怪華ちゃんは不思議な人だ…
本当に<人間>なのだろうか…
「…あのさ、ひとつ言っていい?」「え?なぁに?」「さっきから私の顔を見て……何?」「あ…ご…ごめん…」「以後、気を付けて…」「……うん。」
『……誰だ…誰かいるのか……』
「……来た。」「えっ?何が?」「…聞こえなかった?殺人犯の声。」「……聞こえた…」 「そう……」 「ねぇ!どうすれば…」「警察…呼んで。」「え?どうして?」「……いい加減にして!!さっきからおかしいのよ!!あんたは死にたいの!?」「え…あ……ううん。死にたくない…」「なら…言うこと聞いてよ!!」「ご…ごめん……」
『…殺す……』
「ねぇ、足下に短剣があるでしょ?それ、取って。」「…?…何に使うの?」「それか、110番。」「え?」「…もういい……自分でするから…」
そう言うと怪華ちゃんは足下の短剣を取り、闇へと消えていった。私はその後をついて行った。 怪華ちゃんの視線の先には男がいた。男は私たちを探しているようにも見えた。
すると、突然私の頭上から物が落ちてきた……
そして、私は気を失った……
「……いるんでしょ?ポルターガイストさん?たしかにあなたのお子さんは事故で亡くなってしまったけれど…それをお子さんの友達のせいにするのは良くないと思うよ?」
『……よく分かったわね…いつから気付いていたの?』
「廃墟に入る前。」
『……ッ!!』
「あなたのやり残した事は…<復讐>、でしょう?でもね?ポルターガイストは、特殊能力を持った人間か、死んでしまって強大な霊力を持った者しかすることができないの。」
『…まさか…私、死んだというの?』
「その通り。だから、早く成仏してお子さんの元に行ってあげて?」
『……さようなら…』
『………』
『………』
(…行ったか……良かった…後は…あいつだけ……)
それと同時に、男がこちらに気付いた。そして男は刃を怪華ちゃんの方に向けて走ってきた。
怪華ちゃんは素早く横を向き、男の脇下をかすめ、足めがけて短剣を突き刺した。
「うぅ…」
怪華ちゃんは男の方を見ずに、私を抱え、出口へと駆けていった。
つづく……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.13 )
- 日時: 2016/05/05 00:09
- 名前: 月兎 (ID: qbtrVkiA)
意識が戻った時、私は病院の天井を眺めていた。どうやらあの時に後頭部を打っていたらしく、頭がとても痛くてまだ完全には復活していない。
(助……かった……?)
ただ、天井は真っ青で、歪んでいた。
(……?なんだろう…この気持ち……まだ死にたくないのに死にたいという気持ち…嫌な気分…)
すると、突然視界がグラッとゆれ、息苦しくなった。 気がつくと、私の足元に目が見開き、口が耳までさけている女の子が足を掴んでいた。
そして、私は気が遠くなっていった……
(葉子ちゃん…大丈夫かな…?本当かどうかは分からないけど…私の初登校日に葉子ちゃんの後ろで青白い顔をして、小学三年生ぐらいの男の子がずっと葉子ちゃんの事を恨めしそうな顔で見てた……最初は先生に怒られて後ろに立たされているのかと思ったけど…誰も座っていない席がひとつしかなかった……あの席は私の席だった…ということは……幽霊?私が住んでいる街には何かがある。)
目が覚めると、そこは普通の病院だった。天井は青くない。女の子もいない。さっきのは夢だったのだろうか…でも、そう考えるとひとつ疑問に思う。
《夢の中で夢を見ていた》。
これしか考えられない。
—ガラガラッ
「大丈夫?」「あ…うん…」「もしかして…うなされてた、とか。」「え…」「病室の外まで聞こえてたよ?」「そうなんだ……」「心霊現象、起きた?」「まぁ…夢の中でだけどね……」「ねぇ…病院は霊の溜まり場だと思うけど…?それでも否定するというの?」「………」
私は言葉を失った…瑠璃香さんが言っていた『 怪異はどんどんふくらんでいく 』というのは、この事だったのかと思った……
「ということは、夢じゃなかったってこと!?」「……。《夢》で起こった事が《現実》でも起こるといったら…信じてくれる?」「え…それは…つまり?」「記憶にはないけれど、病院に運ばれている時に見た夢が実際に病室で起こったという事。」 「そんな……」「ねぇ!今までの怪異の元凶を突き止めてみない?ね?勇気を出して!」「…無理だよ…そんなの……」「ハァ…つまらないなぁ…ね?頭の怪我が治ったら探そうよ!!」「えー……」
プルルル…プルルル……
「あ!電話!ちょっと待ってて!」「……。」
「もしもし…?」
『あ!葉子!久しぶり!』
「ちょっと!声が大きいですって!!」
『あはは。ごめんごめん。』
「で、何の用ですか?」
『あのさ、今度の日曜ひま?』
「うん…ひまだけど…今は友達がいるの!また後でかけ直すから!」
『うん…分かった……』
「ねぇ!怪華…ちゃん?」
私は辺りを見回してみたが、怪華ちゃんの姿はどこにもなかった。
(どうして……)
「葉子ちゃん、どうしたの?」「え…」
明らかにおかしい。ドアを開ける音は一切しなかった。
「どこに…いたの?」「廊下にいたよ?話が長いからつい…ね?」「だったらいいんだけど……」「誰と話してたの?」「えっ?知り合いだけど……」「友達じゃないの?」「うん…友達とはほど遠い関係かな……」「そうなんだ……ナラヨカッタ……」「怪華……ちゃん?大丈夫?」「あ…ううん!何でもないよ!」「そう……」
怪華ちゃんがおかしくなり始めたのはこの時だった……
もう少し早く気付いていたら……あんな事にはならなかった……
To be continue……
- Re: 幼き心のひと雫【参照200突破に感謝!!】 ( No.14 )
- 日時: 2016/06/19 21:53
- 名前: 月兎 (ID: 1kYzvH1K)
『20××年9月6日午後4時29分吉野 舞[10]のバラバラ死体校庭で見つかる。今回の犠牲者は今月1日から行方不明になっていた。』
(どう…して……)
「葉子ちゃん…どうしたの?」 「ちょっと見てよコレ…」 「あーコレね…」「分かるの!?」「ん。分かんない。ま、こんな〈もの〉はおいといて……帰ろ?」「〈もの〉って…」「興味ないね。」
(今日の怪華ちゃんひどい…)
「【きり子さん】ねぇ……」「怪華ちゃんは信じないの?」「さっきも言ったけど、興味ない。」「えー……」「ね?早く帰ろ?」「…うん。」
「葉子?今日ぐらい父さんと話さないか?」「……いやだ。」「………。」
「今日は怖い話をするね!とってもぐろてすくだから気を付けてね!」「何?いきなり…」
「昔、ある村にアリスという女の子が住んでいた。」
「なんか始まったし……」
「その子はみんなから魔女扱いされていた。その理由は、運動能力が誰よりもあり、頭がとてもよかったからだ。そのせいでアリスは精神的に病んでいた。」
「そういう話やめようよ……」
「ある日、アリスは自分の腕に奇妙な絵を描いた。」
「奇妙ねぇ…」
「それは、[目]であった。次の瞬間、アリスは腕に描いた[目]めがけてナイフを「ちょっと待ったー!!ここ学校だよ?誰か聞いててもしその子が気分悪くなっちゃたらどうするの!?」
「突き刺した。傷口からは、血が吹き出した。」
「無視された……」
「アリスは笑いだした。まるで悪魔にとり憑かれたかのように……彼女の笑い声を聞いて村の人たちは、アリスの家に駆けつけた。そして、アリスが自分の腕を傷つけているのを制止しようとしたが、アリスは不意に立ち上がると人々の目をナイフで「怪華ちゃん、それ以上その話をするのはやめようね?ん?」「はいはい……わかったわかった。もうやめるから。」「そう言えばその話、日本じゃないみたい……」「This is the story of Germany.」「いきなり英語使うな。」「…ドイツの話ね。」「怪華ちゃん、日本人じゃないの?」「企業秘密。」「…は?」「【きり子さん】ってこんな感じかな……?」「うーん…【きり子さん】は悪魔じゃなくて怨霊なんだけど……」「そうなんだ…」
—キーンコーンカーンコーン……
「あ!もうこんな時間!今日は急用があるの!!じゃあね!!」「じゃあね!!」
つづく……
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.15 )
- 日時: 2016/06/25 18:18
- 名前: 月兎 (ID: 1kYzvH1K)
「永姫ー!早く早くー!!」「待ってー!」
永姫と呼ばれた少女は息を切らしながら校門へと走ってきた。
「ちょっと葉子!まだ10分もあるのに!」「学年で一番足の速い人が何を言いますか。」「そんなに体力使ったら確かめられないじゃん!」「あれ?体力なくなったら霊感が弱まるんだっけ?」「当たり前じゃん!」「帰っていい?」「まさか、怖いの?」「うん。」
(あっさり言った…)
「あー…弓美が生きてたらなぁ……」「え…でも、幽霊は感情がないから分からないんじゃ……」「そっか、そうだよね…」「母親譲りの能力か……」「【心眼】ね……」「それよりも…いま何時か分かる?」「あ!時計忘れた…それに懐中電灯も…でも今日は満月だからいいか…ね!」「そういう意味じゃなくて…普通こんな時間に起きている人がいるかっていう事!」「あー…,いや、でも今日は【きり子さん】を「はい、言い訳一切禁止!!」「………。」「…帰っていい?」「…ダメ。」「何で?」 「暗黙の了解。」「意味わからん。」
その時、2階で何者かの気配がした。
「葉子、どうかした?」「今、誰かがいたような……」「気のせいでしょ。」「……そう…」「とりあえず、中入ろ。」「うん…」
真夜中の学校は静寂に包まれていて、闇色に染まっていた。
「なんか、不思議だね…」「え…?」「うん。私、夜って好きなんだよね…」「どうして?」「なんかほら…こんなに静かだから…世界に私だけがいるような感じがするんだよね……」「ふぅーん…」「興味なさげ…」「もちろん。」「……。」「よし、行こう!」「さっきまでやる気なさそうだったのに……」「そんなもの記憶にありません。」「逃げられた……」「何の事?」「……。」
「そう言えばさ…今度の犠牲者 、舞ちゃんだったね……」「うん…」「もう少しで誕生日だっていうのに…その前に逝っちゃてさ…」「かわいそうだったよね……」
そう言えば母の誕生日と命日が近かった。
まま、どうしてねているの?
…………………………………………
わたしとおはなししようよ……
…………………………………………
まま……
「どうしたの?そんなに浮かない顔して……」「お母さんの誕生日と命日が近かったなって……」「そうなんだ……」「うん…」「よし!気を取り直して行こう!!」「…ありがと。」
私は永姫に励まされたが、心の中は月の見えない闇夜となっていた。
〜つづく〜
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.16 )
- 日時: 2016/08/28 19:48
- 名前: 月兎 (ID: AbL0epsw)
「ねぇ…本当に行くの?」「今更なに言ってんの!」「やっぱり帰ってい「ダメ。」「………チッ」「………。そういえば……葉子、最近転校生と仲がいいんだって?」「……何?関係ないじゃんそんなこと。」「いやいや、関係あるよ、そんなこと。」「……え?」「あの子、不思議な感じがするんだよね……」「………」「霊感の強い私だから言うけど、あの子、かなり危険な感じがするんだ……」「………」「でも、これはあくまで推測だから!気にすることないよ!ね!」「……そう?」「うん!」
—私の『友達』の怪華ちゃんには、何か裏がありそうだ。心のどこかでそう思った。
「ハァ……こういう時に限って葉子ちゃんは……ま、一人で読めばいっか!!」
ー30分後…ー
「うぇ……気持ち悪ぅ……〈憑依〉…か……アリスは最後に心臓を串刺しにされて死んだ……ね。(葉子ちゃんに読ませたら嫌われるかな……?私馬鹿だから分かんないや!)」
—コツコツ…コツコツコツ……
「ねぇ…今足音しなかった?」「ひょっとして…今の、【きり子さん】かも!」「…喜ぶ事じゃないでしょ……」「そう?」「うん…」
つづく………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
高校が忙しく、投稿できる暇がないのですが、なるべく早めに投稿したいなと思っています。
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.17 )
- 日時: 2017/01/22 00:16
- 名前: 月兎 (ID: paNPi15U)
私だって【きりこさん】になんか会いたくない…ただ、私は真実を探しているだけ……あの事故で『小野桐子』がどんな怨みを残したのか……あいつのせいで…っあいつのせいでッお姉ちゃんは……
「……本当に行くの?」「まあまあ、そんな怖い顔しないで」「帰ってもい「だめ。」「………」
—フフフ…
「葉子、何か言った?」「ううん!何も!」「そう…」
—こっチにおイデヨ…
「…………ッ」「どうしたの?」「この奥に【きり子】がいる…!!」「……ぇ…」「葉子…帰っていいよ…」「何言ってるの?永姫らしくない…」「でも……」「約束したでしょ?一緒に行くって」「……はぁ…」「?」「葉子は本当にお人好しなんだから…」「そう?」「うん…」
続く……(明日投稿予定)
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.18 )
- 日時: 2017/01/22 17:15
- 名前: 月兎 (ID: paNPi15U)
—ガチャ
「…誰かいますかー?」「……」「永姫、大丈夫?」「……葉子…助けて……」「……ぇ……何言ってるの?急に…」「…お願いだから……」「………」
(様子がおかしい……?)
「もうやだ…帰りたい…」「…私は…何でもいいんだけど…」「じゃあ…帰ろ?」「うん…」
ーソウハサセナイ……
「永姫、顔色悪いよ?」「…あァ……あァぁああァああひゃひゃ…ヒヒヒヒ……」「………永姫?」「アハハハハハひふフフフ」
(……一体これはどういう事なの?)
しばらく永姫は奇声をあげ続けたが、狂った兎のように跳ねだし、その後死亡した。
(永姫………助けてあげられなくてごめん……)
ー数日後…
「まあまあ、元気出しなって!!」「でも…」「葉子…この怪異の発端は?」「…最初に瑠璃香さんにあったとき…」「ふーん…私の推測からしたら、黒幕は……」「黒幕は?」「【影異怪華】だよ…」「え…」「でも、あくまでも推測だからね?」「………」
ーその頃…
「…それで次は……」「ーーはあの子を道連れにして……」「…もう?……」「まさか、私に逆らうの?」「…そんなんじゃないけど……」「じゃあそんな訳でよろしく!!」「…了解」
ーキーンコーンカーンコーン……
「へぇ…そんな事があったんだ…」「うん…結局永姫の死因は分からずじまいだったけど…」「………」「…私の顔がどうかした?」「ううん!何も!」「そういえば、怪華ちゃんって家族いるの?」「…家族?」「うん!」「私には家族なんていないよ……」「そうなんだ…」「うん…」「…何する?」「…気晴らしに海にでも行く?」「うん!いいよ!」
〜謎の人物、影異怪華の目的は何なのか…その終わりなき迷宮に葉子はとうとう足を踏み入れてしまった…果たして、葉子はこの輪廻から抜け出すことはできるのだろうか〜
To be continue…
- Re: 幼き心のひと雫 ( No.19 )
- 日時: 2017/01/28 09:28
- 名前: 月兎 (ID: RwjcxD6e)
(……本当にこれでいいのか…私の選択は間違っていないのか…)
「ーちゃん…怪華ちゃん…!」「……!な…何?」「大丈夫?」「う…うん…」「なんか最近変だよ?」「ごめん…それで、ここは?」「ここは命ヶ岬【めいがみさき】だよ!」 「命ヶ岬?」「うん!ここから飛び降りても99.9%死なない事が由来なの!」「ふーん…」「………。」「じゃあ落ちてみて?」「え……」「だって死なないんでしょ?」「ほ…ほとんどね……」「嘘?」「ううん!嘘じゃない…」「じゃあ……」「じゃあ…?」「。」「?」
—————————————————死ネ————————————————
そう怪華ちゃんが言った途端、私の体は宙に浮き、やがて谷底へとおちていった……
その時の怪華ちゃんの表情は、ロボットのようだった……
(怪華ちゃん…どうして…)
命ヶ岬で[落ちて]死ぬ者はほとんどいない。
しかし、谷底の氷水で死ぬ者はたくさんいる。
瑠璃香さんの警告の意味というのはこういう事だったのか……
でも、もう遅い
だってこの運命をねじ曲げる事など誰にもできないからだ。
私の最悪の運命は《生まれる前から》定まっていた…
友人に先に逝かれ、友人に裏切られ、殺される事も最初から決まっていた…
なのに……
なのに、私はその運命から逃れようとした
それも
何度も、何度も…
でも、それも今日でおしまいだ
何もかもが終わる
そう信じた。
その頃……
(やっぱり葉子の事が心配だな…無事だといいんだけど……)
「るーりーか!!」「わ!」「どうしたの?」「せ…千香……脅かさないでよ……」「ご、ごめん…」「……ハァ…別にいいけど……」「そう?やったー!!」「……。」「………ん?」「…空気ぐらい読みましょうか……」「空気?空気に文字なんか書かれてないよ?」「…友達やめてもいい?」「……!じょ…冗談だってば!」「じゃあ空気読んで?」「う…うん……」「……ふふ」「どうかした?」「いやぁ…千香って素直な子だなぁって。」「そ…そう?」「うん」
私はいつも能天気な千香に困っていた。
(まぁ…勇気付けられる時もあるけど…)
でも、私はそんな千香が好きだった。
私と千香の関係は幼稚園時代からだ。
その時からお互いに励まし合い(時には喧嘩もしたが…)生きてきた。
〜果たして、葉子の運命はどうなるのだろうか。そして、影異怪華の正体は何なのか。絶望しか見えない道に光が差すことはあるのだろうか。〜
序章END
第2章へ続く…