ダーク・ファンタジー小説

Re: 危機を免れた一人の少年の物語 〜ウイルスの脅威〜 ( No.17 )
日時: 2016/10/16 17:49
名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)

今日の授業が終わり、部活動も終わって、リュックを背負っていた。そして下校完了のチャイムが鳴り、急いで校門へ向かっているところだった。

「おーい!!早く下校しろよー!!!!」

先生もそう言っている時間だった。
重いリュックを背負いながらも、全速力で走っていった。卓球部は終わるのがいつも遅く、毎回のように走っている。
先生は「これもトレーニングだ」と言って、部活を早く終わる気配はない。

まあ、こんなものはもう慣れてきた。特に気にしてもいない。

ようやく校門に着き、スピードを緩めた。
俺の場合、帰りは一人で帰っている。レイとユウジは家が反対方向なので無理だとして、その他の友達も部活が違ったり、家が反対方向にあることが多かった。だから帰りは一人なのだ。

先生に「さようなら」と言い、早歩きで帰っていった。もちろん、早く帰るためだ。
俺はスピードを緩めることなく、家に向かって行った。


家に着き、扉を開けた。
すると、不思議なことに母さんが扉の目の前に立っていた。片手にはゲーム機を持っていて、また没収されたかと思ったが、
「……一昨日から没収してたこれ……返すね」
母さんはそう言って、ゲーム機を僕にわたした。
「えっ!!まだ一日しか経ってないけど…………」
そう言うと、
「はいっ!返すよ」
俺の質問に答えることなくそう言って、リビングに戻っていった。その姿は何かいつもと違うような気がした。だが、何が違うかははっきりとは分からない。

—まあ、気のせいだろう

そう思うことにした。
ゲームを返してもらい嬉しいはずだが、何故か嬉しさを感じなかった。

今日の授業の秋里先生に……今日のお母さん……。

何か違和感を感じ、嫌な予感がした。
二階に上がり、さっき返してもらったゲームの電源をつけた。
すぐにゲームをやろうとしたが、



—エラバレシキキヲノガレルモノヨ…………



ゲーム画面に見慣れない映像と音声が流れ、戸惑いを隠せなかった。その声は明らかに人間の声ではなく、画面には覆面をした人の姿が映っていた。もしかしたら、機械で声を変えてるのかもしれない。


—イマカライウ"ジケンヨコク"ヲヨクキイテオケ…………


そう覆面の人は言った。
俺はゲーム機が壊れたのかと思い電源をオフにしたが、画面の映像が変わることはなかった。
仕方なく俺はこの人の話を一応聞いておくことにした。


—コンシュウノカヨウビ—ツマリ5月15日ニハ…………


俺は全神経を鼓膜に集中させた。




——オマエイガイノスベテノニンゲンハウイルスニヨッテセンノウサレル…………




この言葉を無視したわけではないが、驚くことはなかった。今の時点ではただの悪戯としか思わなかった。


—スデニカンセンシタモノモイルダロウ…………


—ソノモノタチハワレワレノオモウガママニソウサスルコトガデキル…………


—コノコトヲツタエルタメスデニオマエノミジカナオンナハカンセンシテイル…………


—スベテノニンゲンノカンセンヲソシスルニハワレワレ「NZUKS」ノキチニクルンダ…………


—カテルトハオモワナイガワレワレニショウリシウイルスカクサンソウチヲテイシサセルンダ…………


—イツヤルカ、ソシスルホウホウモイッタ…………


—ゼンセカイヲワレワレノモノニスルノダ…………


そこで、画面は元に戻った。
俺はゲーム画面を見つめたまま動かず、銅像のように固まってしまった。

—きっと、誰かの悪戯だ……気にすることはないだろう…………

そう無理やり思ったが、俺はいつもどおりではいられなかった。言ったことは非現実的だが、違和感を感じたことに心当たりがある。
俺は体全体が震え、無意識にお母さんのことを思い浮かべた。

ふと視線を感じ、俺は扉に向かって振り返った。

そこには、覆面の人が言いっていたであろう身近な女—そう、そこにはお母さんが立っていた。