ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 【参照200に感謝!】 ( No.18 )
- 日時: 2016/03/26 12:39
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
【第二話:取り残された少年】
俺は丸い目をさらに丸くし、お母さんを見つめていた。目線を逸らすことができず、恐怖と緊張が入り混じって体が思うように動かなかった。
この時、俺はこう思っていた。
—もしかしたら、殺されるかもしれない…………
お母さんはおそらく、もう洗脳されているだろう。だとしたら、「NZUKS」の思うがままに操作することができる。そうなると、簡単に殺すことだってできるだろう。
俺はそう危機を感じながらも、動くことはできなかった。
俺は気を抜いたら涙が出そうなぐらい恐怖を感じていた。声を出そうと思ってもかすれた声しか出ず、自分の体なのに思うように動かなくなっていた。
お互い目線を逸らすことなく、睨み合いが続いていると、
「ヒデキ、そんな顔をして何かあったの?もうすぐご飯だからゲームも終わるんだよ。ゲームばっかりじゃなくてちゃんと勉強もするのよ」
そう言って、一階に下りて行った。
俺は安堵して、その場に寝転がった。
もうわけが分からなかった。
—あの、「NZUKS」の言っていたことは本当なんだろうか??お母さんは本当に洗脳されているのだろうか??俺は夢でも見ていたんだろうか??…………
考えれば考えるほど、今日の出来事に対する疑問が増していった。
—もしかしたら、あの「NZUKS」からのは事件予告は見間違いだったんじゃないか??
そう考えれば、全ての出来事に納得できる。
だが、そうは思えなかった。
返してもらったゲームはすぐそこにあるし、何よりあの出来事が起こった時、今まで感じたことのない不思議な気持ちだったことが脳裏に焼きついている。
俺は何を信じればいいか、まったく分からなかった—というか、分からなくなったと言った方がいいかもしれない。
もしかしたら、俺以外の人間が洗脳されてしまうかもしれないし、そんな恐ろしいことが起こらないかもしれない。
そこは何とも言えなかった。
ゲームは返してもらったが、やるほどの気持ちの余裕がなかった。こんなことは初めてだった。そうなったことに、自分でも驚いていた。今までの俺がどこかへ消えてしまったようだった。
—もしかしたら、自分の思っている以上に不安が大きいのかもしれない
俺はしばらく寝転がったまま考え続け、心がどんどん不安に満たされていった。