ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 【参照200に感謝!】 ( No.20 )
- 日時: 2016/10/16 18:10
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
俺は恐れながらお風呂に入り、もう寝ようとしているところだった。
さっきまでは学校に行きたくないと思っていたのにもかかわらず、今となっては不安でいっぱいで、家から学校へ逃げたい気持ちが大きかった。
俺は布団に包まり、意識が薄れるのを待っていた。
だが俺の願いは誰にも聞いてもらえず、目はパッチリ開いており、まったく眠気を感じなかった。
緊張や恐怖の感情が治まらず、寝れる状態ではなさそうだった。心臓の鼓動はお風呂に入る前と変わらず、速いリズムを刻んでいる。
まあ、こんなにも精神が安定してないのだから無理もないだろう。
俺は早く寝て、学校に行きたかった。こんなことを思ったのは、お母さんに怒られた時ぐらいだった。
だが、今は理由が違う。それぐらいは分かっている。
今日俺が帰宅したとき、お母さんは珍しい行動をとった。「明後日に返すね」と言っていたゲームを一日経ったら返してくれた。嬉しいはずだが、この時激しい違和感を覚えた。そして二階に行き、ゲームを開いた——。
思い出すだけで、身の毛も弥立ってしまう。もう思い出したくなかった。記憶から消したかった。早く忘れたかった…………。
布団から顔を出し、床に置きっぱなしのゲーム機に目を向ける。
ゲームは俺にとって一番の楽しみだった。だが今はどうだろう?そのゲームによって、俺の気持ちはほとんど真っ黒に染まってしまった。好きなものだとはいえなんでもやりすぎると、いろんな面でいけないんだろう。
——恐怖………不安………そして、自分自身への怒り………
いろいろな感情が溜まり、自分がどうかなってしまいそうだ。
そこで、一つの仮説を立てた。
—もしかしたら、ゲームをやりすぎた報いなんだろうか??
そう考えた。
確かに俺は計り知れないほどの時間をゲームに費やしてきた。そして、お母さんの注意も聞いているふりをしながら聞き流していた。今となってはお母さんに慣れすぎていて、態度も悪くなったものだろう。
—その日頃の行いが原因なんだろうか??
そうなら、今からでも改善しようとするだろう。
こんな恐怖を味わうぐらいだったら、ゲームなんて無くてもいい。
ゲーム好きの俺でも、そんなことを思っていた。こんなことを思ったのは今回が初めてだった。
—そうだ……きっと日頃の行いがこういう形で返ってきたんだろう。きっと、改め直せばこの悪戯も無くなるはずだ…………きっとそうだ…………
そう何回も唱えることで、少し気持ちが落ち着いた気がした。
そして、ゲームのことについて決意を固めた。
考えている内に頭がぼーっとしてきて、俺はようやく眠りに就くことができた。
——そのヒデキが寝ている姿を、NZUKSの一人はモニターでしっかりと見ていた。
ヒデキのお母さんはドアを少し開き、頭だけを出してヒデキを眺めていた。その目は赤く光っており、人間とは思えなかった。NZUKSの一人はそのヒデキのお母さんの見ているものを送信してもらい、ヒデキの様子をモニターの画面で監視していた。今までには何百人もの人から映像を送ってもらっていた。
「—もう少しだ………あと二日が経てば………こいつは不幸のどん底に叩き落される…………さあ、絶望を味わうがいい……そして—」
最後に言った言葉は聞こえなかった。だが今までと雰囲気が違った。
続けて不気味な笑い声が聞こえた。