ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 【参照200に感謝!】 ( No.27 )
- 日時: 2016/10/16 18:42
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
授業開始のチャイムが校舎に鳴り響いた。
授業が始まるが、まったくやる気はおきなかった。それどころか、さっきから頭にガンガンと痛みが走っていて、痛みに耐えることで精一杯だった。理由は俺自身が一番よく分かっていた。
—ガラガラー…………
先生が教室に入ってきた。
一時間目は数学だ。数学は俺たちの担任の波川先生だ。途中、先生はおもしろいことを言い毎回のように笑っている。そして何といっても波川先生は学校の中で一番大雑把な性格の先生だった。細かいことは気にせず「まあ、いいんじゃない?」とよく言っていた。
俺にとっても好都合だった。文句は何もない。
「はい!始めます!」
そう先生が言うと学代の人が号令をかける。
俺は頭痛に耐えながら立ち、先生に頭を下げた。声は出さず口だけ開いてごまかした。
—大雑把な先生だし、たった一人が声を出さないくらい気にしないことだろう……
そう思いながら席に着く。
ささいな行動でも頭に激痛が走った。
歯を食いしばり、教科書を出した。教科書を出したものの、ほとんど寝て過ごすつもりだ。
「はい!では今日は昨日の続きからやっていこうと思います。じゃあ、教科書の…ええーっと…………まあ、とりあえず九十ページを開いて準備しておいていてください」
俺の方を向きながらそう言った。
見られてることに気づき、寝る前に教科書を開いた。
九十ページを開く。そこには謎の落書きが残されていた。俺自身書いた覚えがなかった。
[慌壊(コウカイ)してもしらないよ? byNZUKS]
さらに頭痛が増し、寒気がした。
目をこすりもう一度落書きを見る。そこには確かにそう書いてあった。見間違いでもなく、しっかりと手書きで書いてあった。
俯いていた頭を上げ前を向くと、どこからか視線を感じた。その視線は前の方からだった。
「——ヒデキ君………どうかしましたか?」
先生がにやけながらそう言った。
その表情は今まで見たことがなく、不気味さが漂っていた。そして、俺以外の生徒もにやけながら俺の方に振り向く。
もう俺には耐え切れなかった。
「うわああああああああ!!!!!」
気持ちが心の中に収まらず、今までため込んできた感情が一気に放出された。
俺は意味の分からない言葉を叫びながら男子トイレに向かった。
誰もいない廊下を全速力で走っていった。
トイレに勢い良く押し入り、大便の方に入り無意識に鍵を閉めた。
便器の上に座り、手で膝を抱えた。
歯がガチガチと音を出し、体は壊れた機械のように震え続けていた。
俺は無心になり、ただただ震え続けていた。