ダーク・ファンタジー小説
- Re: 危機を免れた一人の少年の物語 【参照500に感謝!】 ( No.40 )
- 日時: 2016/10/23 16:42
- 名前: ブルーオーガー (ID: o4cexdZf)
—南島中学校か………
僕は森の中を進み中学校の避雷針が見え始めてきた。この中学校は僕も通っていた学校なので少し懐かしさも感じていた。少しだけ学生時代の思い出が頭に浮かんだ。
だが、その気持ちよりも自分のしてきたことに対しての責任感を感じていた。生き残った一人の少年が今も苦しんでいるんだ。しかもその原因でもあるウイルスの研究に僕も関わってきたんだ。
さらに心に重みを感じて、汗が顔から滴り落ちる。汗を手で拭い、草をかき分けて進んでいった。
途中、野生のクマの姿が見えた。そのクマの目は赤く光っていて、かわいらしさは何も残っていない。そのクマの姿を見て少し胸が苦しくなった。
クマの横を静かに通り過ぎ、再び走り始めた。
汗が容赦なく頬から垂れ落ちる。汗のせいでここぞという時、集中力が欠けてしまいそうだ。邪魔ではあるが体温を維持するためには必要なものだ。
さらに深い草をかき分けていき、ようやく山のてっぺんらしきとこに着いた。太陽は自分の真上にあり真夏のような暑さが続いていた。
山の中を進み続け学校の真下に着いた。
学校を見上げ手を強く握りしめた。よく見ると、学校のにはウイルスに感染したと思われる生徒たちが僕を見て窓に張り付いている。少し気持ち悪くなり、視線をそらした。
学校の柵を軽々飛び越え、スーツについているボタンを押した。
「オリジナルスーツ、軽量モードに切り替え!!」
そう言い、学校の壁を走っていった。重力も気にせず走れるとは、科学はすばらしいものだ。この状況を見れば誰もが驚くだろう。
知だけ発達した人間ならではの力だ。
あっという間に屋上につき、屋上の扉から学校に侵入していった。
—なんだ!!これは………!?
扉を勢いよく開けると、そこには生々しい血や肉片が飛び散っていた。
ウイルスには人間性を失う作用もあるのだろうか?視点を変えて考えると、動物の仕業である可能性もあり得る。どっちにしろ、この先は危険も潜んでいるんだろう。
廊下の死角から廊下をのぞき込み、誰もいないことを確認。教室も確認しつつ、慎重に廊下を進んでいった。廊下を進んでいくと一つの疑問が浮かんだ。
それは、学校の外から窓を見た時、すべての階に人が集っていて窓に張り付いていた。だが、廊下を見渡しても教室を見ても人の姿はない。怪しいのは明らかだった。
—コツ…コツ……コツ………
前方から硬めの靴が床に当たる音がした。
だが、学校の中では上履きを履いていてこんな音はしないはずだ。それだとしたら、この音はなんなんだ?
高まる緊張、止まることのない汗。知らない間に息遣いが荒くなって心臓が速いリズムを刻んでいた。
右手には無意識にのうちに剣を握りしめていた。